【血の収支報告】
近隣諸国との軋轢。少数者への差別/排斥。少子高齢と財政難。原発事故と長期に及ぶ廃炉作業。人口爆発/食糧危機。そして、温室効果ガスとマイクロプラスチックが齎す気候変動/環境破壊―。
何れも 私を含めた前世代/前々世代にその端を発す諸問題だが、返済(解決)を先送り 膨れ上がった負債は、今や堰堤決壊の瀬戸際に瀕している。
「私達の世代は、地球を守ることに失敗した」―グテーレス国連事務総長(2019)
非常に理不尽で心苦しく思うが、私達世代が真摯に向き合わなかったそれら膨大な負債は、その選択/決定に携わる事無かった筈のあなた達次世代が最も担う事となる。
何故なら あなた方次世代は、罪を犯した私達前世代の「記憶が刻まれた液体」=“血”を継承しているのだから―。
戦争当事者ではないから、原発推進当事者ではないから、差別/排斥当事者ではないから、罪を犯したのは大人達/前世代だから『だから私達には解らない ーUnknownー 』では 最早済まされぬ次元に私達は生きている。
識らねばなるまい ―常識/正義をエクスキューズにした罪の歴史(未知)を―。
支払わねばなるまい ―見ぬふりしてきた負の収支報告を―。
劇中「魔法」と言及される技術:photograph。
では 私達世界の様々な技術も、罪の結晶=呪いであると同時に エルサと同じ「魔法」である筈だ ―世界をより良くする為の―。
終極。駆けて行く彼女の姿は正面から捉えられ、映画を観ている私達観客の方へ向かってゆく ―スクリーンを飛び出さんばかりに―。
恰も この映画が、2019年の世界と“地続き”であると言わん様に―。
《劇場観賞》