小松屋たから

ライオン・キングの小松屋たからのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
3.9
とにかく映像への期待で観に行ったので、終演直後の感想は、「うわー、リアル」。そして、満足。頑張ってお金をかけてIMAX3Dで観て本当に良かった。人間の役者とか、必要なくなる時代がもうすぐそこに来ているんだろうな、と思わされた。

でも、時間が経ってよく考えてみると、自分はライオンの動きとか、せいぜい動物園やテレビのドキュメンタリーぐらいでしか見たことがなく、本当に野生動物たちがあんな表情や仕草をするのかどうか良く知らないのだから、あれが、「リアル」かどうか、実は判断できないはずだと気付いた。

この作品が見せているのは、観客が脳内で了解できる範囲内での「リアル」であって、本当のライオンたちの生態を描いているわけではない。CGで構成されたひとつひとつの動作も人間だったらぎこちなく見えるかもしれないが、動物や虫たちのものだからそうとはわからず、ごまかせている可能性がある。

で、結局、何が言いたいかというと、もう少し個体識別を解りやすくしてくれたらもっと良かったのにな、と(笑)。お前の観察眼が足りないのだ、と言われればそうなのだが、それぞれのキャラクターが思いっきり擬人化されているのに、見た目はあくまで本物っぽいというギャップに時々ついていけなくなった。

特にクライマックスの闘いの中で、シンバとスカー、ナラとサラビの区別がつかなくなることがたびたびあって、これはやっぱりフィクションなわけだから、「実写風」にこだわるのもわかるんだけれども、そこは、毛の色をもっとわかりやすく違えるとか、割り切ってカスタマーサービスしてくれてもいいのでは、と思ったわけです。安易な妥協、と言われるのかな…

でも、CG技術は本当にどんどん進化している。これに慣れた子供たちは、将来、2D映像の人間ドラマとかには興味が無くなってしまうのかもしれない。今後の映像世界がどうなっていくのか、素直に楽しみでもあるが、ちょっと怖い気もする。