カツマ

ボヘミアン・ラプソディのカツマのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.3
涙が止まらない。オーディエンスの一人が泣きながら歌っている姿を見るだけで、クイーンというバンドが大合唱に包まれるその姿を目にするだけで、伝説的な瞬間を疑似体験したかのように、気付けば自分もウェンブリースタジアムの観客となって彼らのライブを観ていた。
声を枯らして歌いたい。汗だくになるまで踊りたい。今この一瞬を切り取って永久保存するかのように。

〜あらすじ〜

アフリカからの移民で、ゾロアスター教の家庭で育ったファルークはその日も自らをフレディと名乗り、夜のライブハウスへと繰り出した。ライブハウスで人気バンド『スマイル』の演奏を聞いたフレディは、ギターのブライアンとドラムのロジャーの二人に額曲提供を申し出る。奇しくもその直前にヴォーカルが脱退したこともあり、フレディはヴォーカルとしてバンドに参加。圧倒的な歌声とパフォーマンスで瞬く間にバンドを扇動するカリスマとなった。
ベースのジョンを加えた4人は『クイーン』にバンド名を変えた。そして次なる野望はアルバムリリース。ブライアンのワゴンをアルバムの資金源として、ついに1stアルバムを完成。実験精神に溢れた彼らの音作りを目撃した大手メジャーEMIの目に留まり、彼らはついにはアメリカツアーを射程に捉え、トントン拍子に売れっ子となっていくのだが・・。

〜見どころと感想〜

クイーンというバンドの歴史をコンパクトにかつスピーディーに紡ぎつつ、フレディの主観から彼の苦悩と孤独、そして死へのカウントダウンをドラマチックに描き出した、クイーンの正統なる伝記映画である。音楽の監修にはブライアンとロジャーが関わり、クイーンの名曲たちが次から次へとスクリーン上で躍動。思わず歌い出したくなるほどのライブ感を実現することに成功した。

フレディを演じたラミ・マレックは決して風貌は似ているとは言えないのに、時間と共にフレディに見えてくる完璧な役作りを披露!特にラストのライブシーンのなりきり具合は圧巻だ。他のメンバーもかなり本物に寄せてきているので、実際にクイーンが目の前にいるかのような感慨を味わうことができた。

この映画を見て思ったのは、何よりも音楽の素晴らしさ、そしてライブの素晴らしさだった。クイーンを通して音楽への愛を再確認させてくれたという意味でも、この映画を見ることが出来て本当によかった。
カツマ

カツマ