【フォード'72年式グラントリノスポーツ】
高架上の仁王立ちから、高架下通過車両上への降下と獅噛みつき ~ 開巻早々の「ダーティーハリー(シーゲル)」引用からも既に予想出来る様に、その後も「対弟比で無口な主人公」「令状無しの違法捜査」「自動車窃盗団」「ヴィンテージカー」「暴行を受け相貌に刻印される傷」「十字架」「西部劇の決闘思わせる最終局の正対の切り返し」等々…、全編でクリントイーストウッド因子が過露出 -オーバードライブ(原題)- 気味であるのは、やはり主演スコットの風貌に立ち上るクリントイーストウッドの片影故だろうか。
特に、喧しい大食漢の爆弾魔などは セルジオレオーネの生き写しであり、その“クリントイーストウッドアーカイブ”な風韻には涙を禁じ得ない。
然し、それらは悉くクリシェに留まる。
ヴィンテージカー×イーストウッドでありながらグラントリノスポーツへの言及がない、否 言及する事が出来なかったのは まだまだクリシェで戯れるのが精一杯であり、魂までは継承出来ていない事の証左か。
《劇場観賞》