エソラゴト

テルマのエソラゴトのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
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雪深いノルウェーの森に鹿狩りにやって来た親娘2人ー。そのファーストシーンからフラッシュ点滅するタイトルバックへの流れの画面一杯に放たれる不穏な空気感には一発でこちらが仕留められました…。

ヨアキム・トリアー監督曰く"ロマンティック・スーパーナチュラル・スリラー"(?)な今作。(カテゴライズ不可能という意味合いも込められているとの事)

厳格な家庭環境から大学進学を理由に都会へと独り立ちした少女が、環境の変化に伴い眠っていた特性が覚醒する事で精神的な解放を自覚し、大人への階段を登りだす…今年初旬に観た『RAW 少女のめざめ』と肌触りは確かに似ています。

SFの常套である人智を超えた能力(=超能力)も今作舞台の北欧ノルウェーの何か寒々しく陰鬱な雰囲気と情景が絡み合うことで余計に気味の悪さや息苦しさを感じさせられました。そして何よりもテルマの今後の行く末がとても気になります。

あの奇才監督の甥っ子…という触れ込みで鑑賞前はかなり身構えてしまいましたが、その危惧は良い意味で全く不発に終わりました。前作『母の残像』(出演:ガブリエル・バーン、イザベル・ユペール、ジェシー・アイゼンバーグ)や過去作にとても興味が湧いた次第です。