ホイットモア大統領

テルマのホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
3.5
Filmarksの似ている作品にある通り、古くは『キャリー』に代表される “思春期の少女の成長・心の変化をホラー・テイストで描く” 作品が、最近では『ブルー・マインド』や『RAW』、そして本作と流行りなようで。

北欧作品ということで、孤独とグレーの情景がよく似合う。さらに静けさの中、突然ブッ込まれる超常現象のインパクトも抜群。ガラスのバーンッ!からの訪れる静寂といった、心臓に電気ショック与えた時の心電図みたいな演出にこちらの動揺が止まらなくなり、結果、見入ってしまう。

敬虔なクリスチャンてのも前述の作品同様、北欧に多い気がする。ノルウェーは特にガチ悪魔崇拝で、教会も放火しちゃうようなブラック・メタルが有名なわけだし。んでもってこの作品をアカデミー賞外国作品部門の自国代表作に上げちゃうノルウェーが好き笑

監督は、あのラース・フォン・トリアーさんの親戚だそう。何、トリアー家はキリスト教、もとい神に挑戦しなければならない家訓でもあるんですか?笑

また、人間誰しも「欲望」は持ち合わせているものだが、それが全て叶ったとしても無意識下であれば「苦悩」してしまう。それと同時に「抑圧」すればするほど「解放」に向かおうとする。なんて難しい生き物なのか。もはや哲学だ。

しかし、本作の両親とその結末に関しては、手放しで喜べないものがある。キリスト教の教えに則した、厳格な「抑圧」という言葉の裏側には「保護」があり、娘はもちろん、一歩間違えれば全てを破滅させる力から世界を守っていたとも言える。
そういう意味では、『オーメン』に似た解放感を感じることができるかもしれない。