新潟の映画野郎らりほう

ちはやふる ー結びーの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)
4.1
【落陽】


陽が西に傾いた校舎屋上で高校生活を振り返る千早(広瀬すず)と奏(上白石萌音)。
秀撰歌を口遊む奏を 愛おしげに振り返り見る千早の頬を、夏風が切なく切ってゆく―。
卒業迄の日の削られ方/時限焦燥と、それ故に密度高く愛おしいものとなる残された日々の時間 ― それらが斜陽や風で豊かに表される。

前二部作同様 本作も心情説明科白過多であるが、上記をはじめ ここぞとゆう場面では当然の如く“寡黙で語らせる”。
最終盤の太一(野村周平)の礼に対し 無言で襷を渡す千早。
所作行動に滲む心情、和装を纏う者の慎ましき熱情に、名状し難き感銘を覚える。

現実、未来、成長、そして教育と継承 ― 本作の主題の鮮やかな遷移それ自体が「ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」にも似て―。




《DVD観賞》