【靉靆鳳凰】
少女にトラウマを齎す事となる冒頭幼少期の車両事故。
事故後の車内ルームミラーには『血の通わぬ冷たい眼差し』が鏡映し少女を凝視するが、それが後に彼女を苛み続ける『偏見と悪意に満ちた世の人々の冷たい眼差し』を暗示する。
『ペルソナの笑顔に対し 人々が返すのもまたペルソナの笑顔』とゆう構図に ’90年代初頭ソ連崩壊/冷戦終結の“ペルソナの融和”が透過する。
世界は融和などしていない、冷戦は終わっていないとゆう事か…。
彼等の“敵”として現れるエイリアン(他国者の意)が、頑なに“人の姿”であり続けるのは何故だろう。
それはそれが 人々のダークサイドであるからだろう。
互いに笑顔振りまき 融和を謳いつつも、一つ仮面を剥がせば凶悪な素顔が露呈する ― そこに ミュータントも人々も、アメリカもロシアも、自国者も他国者も、マイノリティもマジョリティも 何一つ違いなどないのだ。
彼等が闘っていたのは本当にエイリアン(異星人)だったのか。
マグニートー(ファスベンダー)が笑顔混じりに殺戮する“敵達”は ここでも頑なに人の姿であり(彼が前段で召還した市民の乗る列車と同様の)列車で無残に朽果てて逝く。
また冷戦に突き進むがいい。国と国も、人と人も。
恐怖を与えた者は同様の恐怖に晒される。
鏡に映る冷たい眼差しが自分自身である事に気付かなければ…、
お互いが滅びるまでだろう。
不死鳳凰は冀望なんかじゃない。
私には 永遠に転生繰返し 私達の世を蝕む靉靆に思えた。
《劇場観賞》