きよぼん

今夜、ロマンス劇場でのきよぼんのレビュー・感想・評価

今夜、ロマンス劇場で(2018年製作の映画)
4.4
助監督のマキノ(坂口健太郎)と、スクリーンの世界から抜け出したお姫様(綾瀬はるか)。

この二人が街を歩くシーンがたまらなく好き。モノクロの世界しか知らないお姫様が色つきの世界を観る感動。自分たちが生活してる世界が、いかに美しいかにあらためて気づかせてくれます。

基本軸は恋愛でありながら、もうひとつのテーマは映画と人のつながり。

劇場の支配人(柄本明)は「多くの映画が作られるけど、忘れ去られていく映画がほとんどだ」と寂しそうにつぶやきます。

では世で多くつくられる映画っていうのは無駄なのか?というと、そうではありません。

映画が作られるというのは、大衆に向けたものであると同時に、たった一人の気持ちを代弁するためでもあるからです。

映画を多数観ている人ならば、「そうなんだよ!」と自分の気持を言ってくれたような、映画の中の登場人物に自分の気持ちが救われたような作品に出会ったことがないでしょうか。きっと世間的な評価なんか関係なく、大好きな作品があることでしょう。劇中の「どんな映画にだっていいところはある」という台詞がいうように、多くの人にとっては忘れられていく映画でも、誰かにとってはとても大切に心に届く作品がある。意味がない映画なんてないのです。

そんな映画と人の関係を、現実の世界の住人であり観客のマキノと、映画の中にいたお姫さまという関係で描いたのが面白い。マキノが自分の好きな映画をみつけることで、映画の世界もマキノを助けてくれる。そんな人と映画の関係を恋愛ドラマという形で昇華させている構成には脱帽です。

ただ、後半は感動するんですけど・・・あれハッピーエンドなんですかねえ・・・自分にはやっぱり現実は現実、映画の中は映画という非情さにみえたんですけども。

いずれにしても、映画が好きな人ほどオススメ!時代設定を昭和三十年代という映画黄金期の夢の時代に持ってきたのがいい。北村一輝のスター・俊藤が好き!!スピンオフが見たい(笑)
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