るるびっち

バーフバリ 王の凱旋のるるびっちのレビュー・感想・評価

バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)
4.5
観る悦楽。
贅沢な御馳走のように、目にご褒美な映画である。
男女の美貌も肉体も、大自然の風景も、超絶アクションも、感情溢れる踊りと心地よい歌も、全て映画的享楽に満ち溢れている。
以前は桁外れな面白さに驚いたが、再見して目と耳を楽しませる愉悦な映画だと感じた。
男達の王座を巡る争いに見えるが、実は嫁姑の闘いでもある。
国母と気の強い嫁の争い。
王国を揺るがす悲劇だが、そもそも悲劇というのは大抵王族のファミリーストーリーであり、大抵が長の判断ミスが発端なのは「リア王」と同じ。

特筆すべきは、昔話やお伽話にあるような超絶性だ。
おならで人を飛ばす「屁ひり女房」とか、
「三匹の子豚」の狼は藁の家を一息で吹き飛ばすなど、
リアリティと別次元の超絶性による面白がお伽話には満ちている。

「物語」の元来の面白さを、現代の映画は「リアリティ」という尺度で痩せさせていないか?
本作は超絶性をあからさまに表現することで、物語の持つそうした楽しさを観客に思い起こさせる。

誰しも幼児期に「おならで人は飛ばない」とか「家を一息で吹き飛ばせない」とか、詰らない理屈をつけずに物語の想像性に楽しんだものである。
物語は地に足つけて暮らす日々の憂さやよどみから、心を解放させる役割があるのだ。現代人は詰らないリアリティに囚われ過ぎだ。
嘘臭くて白けると言う人が居るが、それはモノの見方が狭すぎるのであって、そうした人は海外の異なった習慣や自分と違う価値観も受け入れるだけの心の幅がない人だと思う。
るるびっち

るるびっち