きよぼん

ヴェノムのきよぼんのレビュー・感想・評価

ヴェノム(2018年製作の映画)
3.5
「相棒が欲しい願望」ってあると思うのですよ。自分だけかなあ?

「あぶない刑事」のタカとユージのような二人もいいのですが、ただコンビっていうのは、相方と自分は別人じゃないですか。もう一歩踏み込んで、自分の中にいて全ての運命を共有する存在。「寄生獣」のミギーとかに憧れるんですよねえ。「人間最後は自分1人」といいつつも、いやだからこそ、自分の中にいてくれて、相談したり、一緒にやってくれる存在って、なんかいいなと昔から思うんですよね。

ヴェノムという宇宙生物に寄生されたエディ(トム・ハーデイ)。寄生生物であるヴェノムはエディがいないと生きていけない。エディはヴェノムの力を借りたい。このお互いの利益が一致して協力する関係がいい。すぐに人を食いたくなるヴェノムをなだめながら、ときにはヴェノムもエディに協力してくれたりします。このふたりのやりとりがいい。「相棒が欲しい願望」の自分は萠え萠えです。

牙がじゃらじゃら映えてる口ぱっくり開けて、舌をべろりと出すヴェノムの映像はインパクトありあり。仕事を解雇されたや、さぐれエディを演じるカッコ悪いトムハーディも魅力的。アクションシーンも決まっていて安心して楽しめる作品となっています。



…が、しかし!あえていうとですねえ。安定しすぎているのです。

もうちっと、変わったものがみたかったなと。例えばエディと打ち解ける前のヴェノムは暴走して人を食いまくるようなダークな面を描くとかですねえ…「安定」しているというのは、裏を返せば「これまでのヒーローモノと大差ない」とも言えるのですね。

新しいユニバースの第一弾として位置づけられる作品なので、何か特徴が欲しかったところです。厳しいことを言いますと、このヒーロモノ乱立の時代に、同じようなシリーズを増やすことだけになってはいないか。

観た人の満足度は高い作品だと思います。しかし、いつかはその観客が「もう飽きた」になるかもしれず、また新しいユニバースが出てくるだけだと、観客が心変わりする日は近いんじゃないかという危惧もしています。
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