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ビューティフル・デイのikustatinoのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
5.0
「ビューティフル・デイ」

何気ない日常と狂気の端境は何処か?
ジョーは殺し屋という不穏な生業でありながらいとも容易くあっさりと日常に溶け込み、己の爆発しそうな狂気に身悶えている。そして訪れる運命ともいうべき怪しく美しい少女との邂逅。
生暖かい血、PTSD、認知症の老母、狂気…、萌える2人の狂気!…。
そして最後5分、物語は本当の映画的魔法を画面に映し出す。絶句。

この映画の特徴といえる強烈な狂気は場面にある種のイノセントさえ感じる美しさと共存している。
けれど決してその美が現実の恐れとしての説得力を失わないのはジョーという主人公のシリアスで悲痛な存在感ゆえだろう。
中肉中背の下の無骨に鍛え上げられた肉体、無数の傷の後。伸び放題の髪と髭、そしてどんよりと闇の中から光っているかのようなあの目だ…。


正直つらつらと感想を書いているけれど自分の文章が作品の面白さの真髄をつけている自信が全く無い。
全く言葉で語りつくせないこの感じは今年「シェイプ・オブ・ウォーター」を観た時以来だと思う。
率直に、素直に、端的に凄い映画だった。
リム・ランジー監督。
強烈に印象に残ったし、多分その名前を忘れない。
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