テレザ

ラブレスのテレザのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
3.9
「セルフィーに乾杯。」
ズビャギンエフ監督は何度も、不確かな契約(婚姻や家族、国家)によって成り立った不気味さや暴力性、無力感を描いてきた。
今回の「ラブレス」も徹底して冷え切った家族の話である。幼い息子が失踪し、それを探すボランティアの捜索隊はこの作品で描かれる社会の唯一の良心であり、それは彼等が金銭的、利己的な契約を介さずに成立した団体だからだろう。
妻は母親から逃げるため、夫は厳格なキリスト教を掲げる大手企業での安定した社会的地位のために婚姻した。あるいはその通りであり、それ以上でもそれ以下でもないのだろう、他人以上に自分を愛するしかない私たちの成れの果ての姿がそこにはあった。
そんな自分たちが情けなくて泣き崩れるも、彼等は私たちは同じことを繰り返す、気楽で心地よい性欲に身を任せて自分を満たすことしかできない。
だから映画が終わっても永遠に、失踪した息子アレクセイは帰ってこない。
日々のルーティーンを長回しするシーンが多く、重苦しく、観ていてとても息苦しい。