サラリーマン岡崎

ナチュラルウーマンのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)
3.9
普通のトランスジェンダー映画は
自我と社会の戦いを描く。
先日公開された「アバウト・レイ」もそう。

今回もそれには当てはまるけど、
どちらかというとトランスジェンダーの自我というより、
死別した恋人との恋愛要素が強い。
その様な映画はあまりないのではないだろうか?
(ヘドウィッグは少し近いかも)

でも、普通の恋愛映画とは違い、
トランスジェンダーだからこその要素が入ってくるところが作品を言い方悪いかもしれないけど、「面白く」してる。

恋人が死んだ時、主人公はその場から逃げた。
トランスジェンダーである自分は家族でもなんでもなく、何もできないという寂しさか?
それとも、恋人の家族と会う気まずさか。

そして、恋人が死んだ後が、
死んだ悲しみと同じくらい辛い。
恋人の家族から疎まれ、傷つけられ、
警察には不当な身体検査をされる。

しかし、その障壁は亡き恋人への思いを醸成する。
それがこの映画が面白くしているところ。
だから、軸はラブストーリー。
(「ある天文学者の恋文」にどこか似てる)

だから、映画のテイストもすごく凝ってる。
色彩だったりファッションが、
華やかさを発してるけど、
それが逆に寂しさを表してる気がする。
小道具として鏡とか風とかを使うのが、
映画的でそこも主人公の寂しさを表現している。

ロッカーの中には何が入っていたのかな。
解釈は観客ごとに違うかも。
それはそれぞれがこのラブストーリーをどう受け取るかで変わる。