小松屋たから

真っ赤な星の小松屋たからのレビュー・感想・評価

真っ赤な星(2017年製作の映画)
3.0
27歳と14歳の行き場のない女性同士の恋愛ものというか疑似家族もの。虐待、不倫、レイプ、母子関係の崩壊、売春、DV‥とこれでもかというほど、女性の「痛み」が盛り込まれている。出てくる男性はほとんど自己中心的で性欲の塊。

正直、「ケータイ小説」でよく見かけるステレオタイプの物語にも思えてしまったが、この作品が決して単なる自己陶酔の発露には終始していなかったことも確か。それは監督、カメラマンが極めて素晴らしい映画的な視点と志を持っているからだろう。

美しく青い空に浮かぶ赤いパラグライダーの切り取り方が素敵。

人間は本当に羽根をはやすことはできない。道具を使って翔んでもいつかは地上という辛い現実に降りてこなくてはならない。飛翔を下界から見守っている人間にとってもそれは同じこと。

ただ、自分をわかってくれる人が一人でもいれば地上で生きていけるかもしれない。そんな人の繋がりへの渇望を鮮やかな映像で突き付けてくるところにこの映画が存在する意味があるのかも、と思った。