出張で田舎町を訪れた男は、終電を逃し彷徨う夜の街で運命の女に出逢います。ぶらつきながら語らい、互いの気持ちを確認した2人はパリでの再会を約束します。日時と場所だけを告げて。
約束の場所で待つ女。しかし不運な、小さなアクシデントが重なり、時間をだいぶ過ぎて男が駆けつけた時には、既に彼女の姿はありませんでした。
失意の中、女は元々のパートナーとよりを戻しアメリカに旅立ちます。男は彼女の影を追い続け、再度の出張で訪れた思い出の田舎町で、彼女の面影を感じさせる別の女と出逢います。成り行きに任せ交際をするようになり、いよいよ結婚という段になって、ある事実が判明します…。
成り行きでダラダラあらすじを書いてしまいました。
もうね、とにかく苦い。リカちゃんの靴、プレステのコントローラーのスティック部分並みに苦い。苦味の主成分は、“面影を感じ”てしまい判断力が鈍る部分です。ピンとこない、という方。お幸せに〜。
川魚のハラワタが一番美味!と仰る食通様もいらっしゃるように、苦味は支配力がとても強く、この映画に於いても一番印象的なのは起・承のニガニガパートです。以降の転・結はただ愚かしいだけに思えてしまった。美しい導入〜ゲスの自業自得という感じ。
映画の見た目はごく一般的なフランス映画マナーなのですが、劇伴が何故かギャスパー・ノエ的な「ヴォーン ヴォーン ヴォーン」とボディブロウを入れてくる系なのが印象的です。実際、通して観るとラブロマンスとかでは無くてサイコスリラーに近いトーンのお話なので、ジャケや邦題の素敵みに騙されないようご注意下さい。
女優達が素っ晴らしい!最初に登場する女がシャルロット・ゲンズブール。次に出逢う女がキアラ・マストロヤンニ。その母がカトリーヌ・ドヌーヴ。ゴージャス!寡聞にして存じなかったのですが、キアラとカトリーヌは実の親子なのだそうですね!あんまり似ていないかな。キアラはどちらかというとオドレイ・トトゥとかに近いおっとりした雰囲気です。そして主人公の男、ブノワ・ポールヴールド、見たような見ないような…と思って調べてみたら、カルト傑作『ありふれた事件』の連続殺人鬼さんじゃないですか!みんな逃げてー!袋詰めにされて崖からドスンとされるよー‼︎
あと、今作とは何の関係も無いのですが、アラン・レネ監督の似たタイトルの『六つの心』という作品が有りまして、それが個人的には五本の指に入るくらい訳が分からなかったので、何処かの賢者様、どうか御解説を御願いしますじゃ…。