ラピュタ阿佐ヶ谷で鑑賞。
名匠達に相次いで起用され中川梨絵さんが、まさに波に乗っていた頃の時代ポルノ。
田中登作に続いての女郎役だが、幕府に人身御供として堕とされた元大奥のお女中という作劇的な捻りが入り、東宝女優だった梨絵さんの立ち位置も被った、意外な反体制作品に仕上がっている。
お女中の気品と女郎の威勢、おんなの「しおらしさ」を目まぐるしく往き来する梨絵さんの表情・芝居に、まさに女優の堂々を感じ、受けて立つ坂本長利、井上博一といった日活男優陣が映画に奥行きを与える。
薄幸なサブヒロイン・吉野あいとの対比も良く、生と性と死が交差するスリリングな展開は中々に見応えあり。
撮影の畠中照雄は名手・山崎善弘の弟子だけに、時代劇では珍しい手持ちのショットを重ね、意欲的な画作りを見せる。
将軍様も女郎買いも、やる事は同じという係争中だったロマンポルノ裁判へのカウンターも入って、後の低温の職人監督ぶりとは違う、白鳥信一の別の顔を見た思い。丘尚美は喧嘩要員(笑)として登場。