「幸せを運んでくれた今日という日
それでも心はむなしい」
昨年10月に人生初の前売り券を購入。
12月に公開される!と楽しみにしていたのに、大阪では今日、1月6日公開。待ちきれなくて、東京まで観に行こうかと思ったほどでした。
今年初めての劇場鑑賞は超満員のシアターで。
アキさんの映画、こんなに愛されているんだ。
「もうすぐこの世をあとにする俺に
どうか買ってくれ シャレた白いスーツ」
それまでの静寂をやぶるようにこの曲がかかった瞬間、もう泣きそうになったよ。
不景気のフィンランド。
妻と別れた男は衣類のセールスマンを辞め、レストランのオーナーとして新たな人生を歩み始める。
同じ頃、密航者カーリドは難民申請をする。
ある日、トルコに送還されることになったカーリド。
フィンランドに留まる決意をした彼は、収容施設から抜け出そうとする。そこにやって来た施設の職員。彼女は迷うことなく鍵を開け、カーリドを逃がす。
二人は黙って頷く。
この無言のやり取り、かなりグッときた。
さらに、妹ミリアムと再会するシーン。
カーリドを手伝ったレストランのオーナーが、ミリアムを届けてくれたトラックの運転手に言う。
「礼はいくら払ったらいい?」
「こんな素敵な荷物を運ばせてくれたのだから、いらない」
たとえば、”フィンランド=みんな平等で親切でいい国”という先入観のように、”難民=その国に住む人たちの職を奪う、危険”という差別的な思い込みがある。
そうじゃない。
カジノで金を増やし、アイディアを出し合ってレストランを経営する男と同じように、カーリドはただ生きているのだ。
彼には偏見も同情もいらない。
アキさんは静かな眼差しで現実を映し出す。
「人間性がなければ、一体、我々は何者なのだろう」