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男の優しい罪と罰のkuuのレビュー・感想・評価

男の優しい罪と罰(2013年製作の映画)
3.5
『男の優しい罪と罰』
原題 It Was You Charlie.
製作年 2013年。上映時間 81分。
自由奔放な彼女との出会いが、真っ暗だった僕の人生を変えていく。
カナダ発のブラック・ラブコメディー。

元彫刻家で芸術大学の教授だったアブナー。
しかし弟と三角関係のもつれで絶縁状態になり、自暴自棄になっていた彼は交通事故で相手を死なせてしまう。
罪の意識に囚われ、今は警備員の夜勤をしながら、自殺を試みては踏み切れないというようなことを繰り返す毎日だった。。。

見終えて、見逃したのかタイトルの『It Was You Charlie』は、登場人物の中にチャーリーという名前の人物がいないことから、疑問が生じる。
もう一度見る熱量はないかな。
脚本・監督のエマニュエル・シリニアンは、ドラマと呼ばれる不定形の領域にある今作品のトーンに合わせ、ちょっとした気まぐれを意図してつけたのかもしれない。
しかし、残念ながら、今作品はドラマの方に重きを置いており、少しずれているように感じられる。
それは必ずしも悪いことではないんやけど、もう少し平静を装う場面があってもよかったかもしれない。
トロントで撮影されたと云う今作品は、小柄なアブナー(マイケル・D・コーエン)が主人公。
かつては芸術家で教師だったが、今は夜勤のドアマンとして悲しい生活を送っており、明らかに精神的に深い苦痛を感じているよう。
(彼の給料で、どうしてあんなイカした立派なアパートが買えるのか、ちょっと曖昧やけど。
フラッシュバックで展開される出来事の中で、2つのことが彼を蝕んでいる。
1つは重大な交通事故。
明らかにするには長い時間がかかるだろうが、別の人物に悲惨な結果をもたらしたこと。
もう1つは、アブナーが思いを寄せる女性を奪った兄弟のトム(アーロン・アブラムス)との亀裂。
リビングルームで事故現場のジオラマを見ながらうだうだしていることが、アブナーが一つの葛藤を解決することにつながるのか、まったく明らかにされていない。
見たときは箱庭療法でテラピーすんのかと思たが。
また、サングラスをかけた2人の男が彼の後をついて回っている。
アブネルは、自分に気がありそうな気立てのいいタクシー運転手ゾーイ(けっこう可愛い女優エマ・フルーリー)に出会うが、事故以来、トラウマになっている彼は、いわば『乗り物』に乗れない状態。
コーエンは、必要であれば伝記映画で俳優兼監督のハゲ茶瓶ダニー・デヴィートを演じることも可能で、アブナーを耐え難いほどの憂鬱さで演じ、最終的な彼の救済を少し飲み込みにくいものにしている。
トムは、表向きの主人公がアブネルであるため、実は必要以上に同情的でした。
長編映画デビューの地元出身者であるシリニアン監督は、カメラの後ろで多少の才能を発揮しているが、脚本に難があるかな。
ドラマとコメディの融合がバラバラな今作品は、有能ではあるが、個人的には満足のいく映画にはほど遠いが、停止ボタン実行までは行かなかったかな。
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