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名もなき野良犬の輪舞のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)
3.8
予告編で刑事であることをバラしてしまってるのが新しい!
犯罪組織のナンバー2であるジェホと、彼が服役している刑務所に組織を摘発するために受刑者として潜入した刑事ヒョンスとの愛憎入り混じった韓国ノワールです。

潜入捜査モノって、いつバレるかハラハラしたり、相手に情が移って絆が生まれてしまって葛藤したりっていうのがあると思いますが、この作品では自分が潜入捜査官だということをヤクザのジェホに言ってしまってるわけですから、わかった上でどうなるかっていうのが目が離せないんですよね。

信頼と絆、そして裏切り。
ある真相が明らかになってからの絶望と愛憎が切なくやるせない。

ヤクザと警察、それぞれの組織に踊らされる孤独な2人。
立場の違いを超えて結ばれた絆は、どこかラブストーリーのように見えなくもないくらいで、ヒョン(兄貴)‼︎ってぎゅっと抱き締めたりするのではないかとドキドキしちゃいました♡

ノワールなんですが、前半はコメディタッチで楽しく見れるし、音楽の感じなんかも「ベテラン」みたいな雰囲気です。
映像もちょいちょい印象的なカットがあって、刑務所の厨房だか食堂での「最後の晩餐」を模したシーンなんて、「裏切り」のテーマとも重なってて良かったです。

そしてやはり、主役のソル・ギョングとイム・シワンの魅力ですよね。
ほんとカッコイイんですよ。
ソル・ギョングは最近見たのだと金正日になりきる売れない俳優の役を演じてましたが、体型も雰囲気も全然違ってて、やっぱりすごい俳優だなと思いました。

誰を信じていいかわからず疑心暗鬼になり、疑念や憎悪と絆との狭間でもがくイム・シワンも、可愛らしさや軽やかさから最後の表情まで魅せてくれました。

煮えたぎったアレをアレする野蛮な行為や飛び蹴りが炸裂するアクションも見応えあって韓国ノワールの質の高さをまた見せつけられました。

24
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