エソラゴト

悪女/AKUJOのエソラゴトのレビュー・感想・評価

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)
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最強の殺人マシーンとして育てられた主人公スクヒに与えられた最後の暗殺ターゲットは一体誰なのか?

物語自体はチョン・ビョンギル監督自身も語っている通り『ニキータ』に影響を受けているのは明白ですが、捻りが効いていてラブストーリーとしても愛憎劇としても楽しめました。ただちょっと雑さや粗さが目立ち、中盤での中弛みを感じてしまったのは確かです。

しかしそんな事を完全に吹き飛ばしてしまう程のアクションシーン・カーチェイスシーンは正に圧巻、壮観、大迫力ー。「秒でアガる」の某スパイ映画のキャッチフレーズはこちらの方が正解かもと思わせる程アガりきりました。

「悪女」というと男を手玉に取る"魔性の女"、"性悪女"、"小悪魔"といったイメージを勝手にしてしまいますが、今作の主人公スクヒはそういったタイプとは対極に位置する悲劇的な女性として描かれており、主演のキム・オクビンがそんな彼女の境遇を終始憂いを帯びた冷たい表情で好演しています。激し過ぎるアクションシーンもほぼノースタントなところにも女優魂を感じました。

そんな「悪女」の本当の意味と覚醒した彼女の表情を映すラストカットには鳥肌ものでした。