ま2だ

ハッピー・デス・デイのま2だのレビュー・感想・評価

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)
4.1
ハッピー・デス・デイ、鑑賞。

続編に合わせて公開された日本劇場未公開タイムループホラー。ショッキングなシーンやゴア表現は最小限にとどめ、まさに死んで覚える死にゲースタイルで自分を殺した犯人の正体に迫る。と書いたが本作が優れているのはミステリ的要素でもなく、主人公の成長物語としての独自性だろう。

性悪女子大生が死を契機に日常を繰り返す中で、自らの行動とその積み重ねが招いた環境を客観視して軌道修正を図るという構図が、ミステリと青春ものを繋ぐ紐帯として有効に機能している。

ミステリとしては、自分に殺意を持っている容疑者のリストの長さに、青春ものとしては、悪人ほど反省と成長ののびしろあり、といった具合だ。

ホラーやミステリ要素は主軸というよりはルール設定にとどめ、登場人物の成長に焦点を絞った仕上がり、この設計は意外さ含めコンパクトでなかなかに心地よい。

そんな本作の魅力は主演のジェシカ・ロースの演技の思い切りの良さに負うところが大きい。鼻持ちならないビッチ女子大生の喜怒哀楽を顔面筋総動員で演じる彼女は、ヘレディタリーにおけるトニ・コレットを彷彿とさせると言うと褒め過ぎだろうか。彼女の演技を観るだけで本作鑑賞の価値があるだろう。

ホラーやミステリとしてはかなりライトな部類に入るが、どちらのジャンルとしてもフェアな語り口が好印象、コメディすれすれの青春ドラマとして楽しめる佳作だ。続編に続く。
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