せーじ

祈りの幕が下りる時のせーじのレビュー・感想・評価

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)
3.4
イオンシネマ市川妙典で鑑賞。
天気の悪い平日の朝の回ということもあり、2割くらいの人出。

「新参者シリーズ」の概要は知っているものの、テレビも過去の映画作品も観る機会が無く、まともに鑑賞するのは今回が初めてとなる。そんな自分でも、すぐに入り込めるくらいミステリーとしてはよく出来た作品だとは思ったものの…残念ながら自分には合わなかった作品だった。

とはいえ、中盤までは軽快なテンポで物語が展開していくし、謎の判明の仕方も絶妙で、面白く楽しめた。クライマックスに繋がる謎解きの場面も、実は合わせ鏡のようになっていたという展開には驚いたし、その事によってその後判明した事実は衝撃的過ぎた。
だが26年前の話とはいえ、いくらなんでも犯人が愚かすぎやしないだろうか。あれは明らかに正当防衛なのだから、あの時点で警察に駆け込んでいれば、少なくとも"彼女"は守れたし、その後の殺人はすべて回避できたはずなのに。犯人のあのような行動は「愛」でもなんでもないと考えてしまうし、ならばそういう事を加賀が最後に犯人に言って諌めるのかと思ったら、しないまま終わるし。劇場内ではすすり泣く声があちこちから聞こえたものの、自分は欠片も犯人に同情が出来なかった。

また、演出もアンバランスかつ少々大仰なところがあって、鼻についてしまったのも良くなかった。音楽は相変わらずこの手のテレビ映画らしく、泣きのポイントでドガジャーンとぶちまける感じだったし、序盤の字幕は、加賀か誰かのモノローグで良かったと思う。
捜査本部の会議もいろんな意味で嘘臭いし(いい加減、警察関連のドラマや映画作品などで某捜査線的な捜査会議をけれん味たっぷりやるのはやめた方がいいと思う)会議室の光の入れ方もいかにもなやり方で、ダサいなと。このシリーズには淡々と物語が進んでいくイメージがあったので、そぐわなく感じてしまった。

それにしても東野圭吾さんって、こういう系統の話が好きだよなぁ…と思ってしまいました。これは自分の考え過ぎなのかもしれませんが、"ホームレス"や"原子力発電所の期間作業員"に対しての蔑視というか偏見みたいなものがうっすらと感じられたのも、ちょっと不愉快でした。
(映画そのものはそういう考えを全面に打ち出さないように調整されているとは思いますが)
役者陣、特に子役の桜田ひよりさんの演技は良かっただけに、残念です。
でも、filmarksのレビューを読む限り、みんな絶賛しているんだよなぁ…もしかしたらこんなことを書いてしまう自分は、冷たい人間なのかもしれません。
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