TVドラマ「新参者」から見始めた、加賀恭一郎シリーズですが、
もう、これ以上無いと言っても良い位の、素晴らしい完結編だったと思います。
冒頭から、どんどんストーリーが進んで、
大きな謎を隠しつつ、パズルのピースがひとつひとつ埋まって行くように、
テンポよくその謎が紐解かれて行くのは、観ていて心地良く。
加えて、それが絶妙に加賀恭一郎の過去と繋がり、
やがて登場人物たちの過去と現在の輪郭がくっきり見えてくる。
シリーズ完結編に相応しく、ミステリーの醍醐味をじっくりと、タップリと味わえるだけなく、
人と人が織り成す悲しいドラマとしても見応えある作品でした。
シリーズ最高傑作というのは過言では無いと思うし、
今後、この作品を超えるエピソードは産まれてこないんじゃないかと思いました。
ここからは個人的な話。
この作品自体が、主人公の過去を紐解いて行く作品だったのですが、
観ていて、自分自身の過去ともリンクして、色んな事を思い出したということ。
自分には、加賀恭一郎のような、悲しい過去があったわけでは無いのですが、
思い出したのは、その作品の中に映る街並みや風景。
自分は彦根市の城下町で育ち、母は長浜市の出身で。
作品の中で何度か登場した大通寺前のごぼう表参道商店街の本屋で、
数年前に亡くなった祖母によく絵本を買ってもらったことを思い出したりしました。
なので、作品に登場する長浜、彦根の風景は、自分自身のルーツでもあり。
「この事件は俺の過去と関わりが強すぎる。
宿命?いやむしろ、俺の人生にまつわる事件と言っていい」
加賀恭一郎が作品中、こう語るように、
自分の中でも、自分の過去にまつわる作品のように感じられて、
その分、余計に思い入れが残る作品となりました。
