主演の女優さんがきっと役を(良い意味でも)理解していなくて、だからこそ、つかみどころのないある種宇宙人的な存在としてこの劇世界中で生きていけている。
ある男も実在なのか、ドッペルゲンガーなのか、自分レベルでは良くわからなかったが、そこを曖昧にすることが狙いであればそれは成功していて、黒沢清監督作品のような無機質感は確かにヨーロッパで高い評価を受けるであろうと思った。
専門家、評論家ではない我々一般の観客は、背後にいる監督より役者の演技や表情から得る情報量が圧倒的に多い。だから結局、主役の女優さんの芝居に乗れるか乗れないか、それが、この作品の評価を分けることになると思う。
見た目が同じで心が異なる人物を同じように愛せるかどうか、これはとても面白いテーマだと思った。