新潟の映画野郎らりほう

スリー・ビルボードの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.0
【掲示板炎上】


事の善し悪しは別として、何らの躊躇逡巡もせず 俊敏且つ簡潔な〈行動〉を繰り広げる各登場人物の姿には羨望混じりの清々しさすら覚える。
それら一見すると無考察な行動群は、作品にスピーディな拍動を付与し、安易短絡な思考動と その結果が如何様かを際立たせ、憤懣の極みが滑稽諧謔へと化す事を十二分に伝えている。
と同時に、差し出される清涼飲料水でも示される様に、簡潔な行動は 各人物の温かい恩情をも際立たせているだろう。


当初目的地を大幅乖離しているにもかかわらず 一方通行を尚確信で逆走し続けるかの作品概要は、クレーマーやストーカー、そして 意見交換を逸脱し攻撃純化を直走る“掲示板炎上”等にも思えてくる。
そんな一方通行炎上型人物達が、立ち止まり- ブランコや路傍に腰掛け- 他者と目線を等しくした時、今まで見えなかった -気付こうとしなかった- 別の路(未知)を識る。

ラストシーン - 自動車内に着座した彼等の等しい目線には もう狭い一方通行路ではなく、曲直正邪混在した広い路(未知)が開けている。




《劇場観賞》