磔刑

ブリグズビー・ベアの磔刑のレビュー・感想・評価

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
3.0
「それはクマった🐻」

ちょっとよくわからん。
事前情報を一切入れない状態で観たこともあって開幕早々チンプンカンプンだったが、徐々に全容が把握してきて、「それで、主題は?」って感じで身構えてたら「映画作ります」って。うーん。いや、よく言ってる意味がわからない。

そもそも設定が特殊過ぎる。『ルーム』のその後をフィーチャーしたような作品なのだが、それで映画撮ることに目覚めましたとか言われても「いや!そこか?!あんな不穏な設定から!着地点そこか?!!」って感じで非常に順応しにくかった。
何よりブリグズビー・ベアを拒否する両親の反応の方が共感できたので、主人公側の思考や目的意識に理解を示しにくい。ブリグズビー・ベアも自分の一部とか言われても、結果そうだとしてもそりゃ厳しいぞ。どう考えても洗脳にしか思えないし、クマから犯罪の影を消して見るとか不可能だろ。ネットの再生回数だってサイコ野郎が作ったヤベエ映像作品みたいな奇異の目で見られるのが関の山だ。ストックホルム症候群や吊り橋効果によって生まれた愛が本物だとか言われてもにわかに信じがたいし、寝言にしか聞こえない。


誘拐の理由とか、監禁している時の犯人夫婦の心境とか、ブリグズビー・ベアとかいう狂気の象徴を作った背景、それを子供に延々と見せてた理由の方が気になって、主人公の映画に対する情熱が割とどうでもよかった。それに、ラストの試写会のスタンディングオベーションもね。いや、褒められたい、認められたいのは分かるよ?しかし、映画内で完成された作品に立ち上がってまで褒め称えられるほどの説得力を感じれなかったので、製作陣の認証欲求、自己顕示欲を満たす為の妄想。オブラートに包まず表現するとオナニーにしか見えなかった。

映画製作における根源的原動力とか、生まれた作品に善や悪が存在せず、作り手の情熱、そしてそれに共感して欲しい気持ちは十分かったが、それを映画として楽しみ、共感する上で誘拐という特殊過ぎる設定が邪魔でしかなかった。
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