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007/ノー・タイム・トゥ・ダイのkuuのレビュー・感想・評価

4.4
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』原題No Time to Die.
映倫区分G.
製作年2021年。上映時間164分。

ジェームズ・ボンドの活躍を描く『007』シリーズ25作目。
ダニエル・クレイグが5度目のボンドを演じる。
53歳で、ダニエルクレイグは、公式映画シリーズでジェームズボンドを演じる2番目に古い俳優だそうで、最長はロジャー・ムーア57歳でした。
兎に角お疲れ様ですダニエル・クレイグさん☕。
前作『007 スペクター』から引き続き
レア・セドゥー、
ベン・ウィショー、
ナオミ・ハリス、
ロリー・キニア、
レイフ・ファインズらが共演。
新たに
アナ・デ・アルマス(ダニエル・クレイグは、キューバの女優アナ・デ・アルマスを個人的に厳選した推しやそうな)、ラシャーナ・リンチらが出演し、
ラミ・マレックが悪役として登場する。
日系米国人キャリー・ジョージ・フクナガ。

現役を退きジャマイカで穏やかな生活を送っていたボンドのもとに、CIA出身の旧友フィリックス・ライターが助けを求めにやってきたことから、平穏な日常は終わりを告げる。
誘拐された科学者を救出するという任務に就いたボンドは、その過酷なミッションの中で、世界に脅威をもたらす最新技術を有した黒幕を追うことになるが。。。

ジェームズ・ボンド映画史上最も高額な予算は約2億5千万米ドル。
これまでのボンド映画の記録保持である『スペクター』の予算約2億4千5百万米ドルを上回ってるだけあって、個人的には圧巻の連続でした。

今作品の思いは、映画の最後にM(レイフ・ファインズ)が唱える言葉に要約されてると思います。
それは米国の小説家ジャック・ロンドンの言葉です。

人間の本来の役割は、生きることであって、存在することじゃない。
私は自分の時間を無駄にして延ばそうとは思わない。
私は自分の時間を使おう。』

というもので、この言葉は、↓の長い文を要約したものです。

『私は塵よりも灰になりたい。
私はむしろ、塵よりも灰になりたい!私の火花が乾いた腐葉土で押しつぶされるよりも、
輝かしい炎で燃え尽きる方がいいのだ。
眠ったままの永遠の星になるよりも、私の一粒一粒が見事に輝く極上の流星になるほうがいい。
人間の本来の役割は、存在することではなく、生きることです。私は日々を長引かせようとして無駄にすることはない。
私は自分の時間を使おう』と。

今作品はミステリアス。
ボンドのキャラに興味がなかったり、ダニエル・クレイグの過去の007作品を全て見てへん人にとっては、ハイテンションなアクションシーンや、美しい男女(小生は下世話な目の保養をしてます)、豪華な風景とかて楽しむことができる。 
せや、上映時間に圧倒されたり、これまでのクレイグ作品で登場した人物や筋書きが次々と出てくることに戸惑ったりするかもしれない。
今作品を最大限に楽しむためには、ダニエル・クレイグの007作品を全て、じっくりと見てから視聴して良かったとメチャクチャ感じます。
個人的にはクレイグの007映画の中では最高の作品やと思うけど、それ以前の作品がなければ、これほど楽しく、感情に訴えかける作品にはならなかったことは否めない。
『カジノ・ロワイヤル』から『スペクター』まで、ダニエル・クレイグ時代のジェームズ・ボンド映画は、『ノータイム・トゥ・ダイ』の良さの一端を担ってるんちゃうかな。
クレイグとジェームズ・ボンドの熱烈なファンへのラブレターのようであり、『カジノ・ロワイヤル』で導入された007のストーリーをうまく結びつけ、満足のいく結末を迎えてます。
ほならどこが好きなんや?
って聴かれるなら率直に云って、ほとんどすべてで甲乙付けがたい。
ただ、印象に残っている一つに、ハンス・ジマーの音楽で、彼は感情を増幅させ、アクションシーンの強度を高め、ドラマに深みを与えていました。この挿入曲がなくても、今作品はアクション、感情、ドラマを十分に楽しむことができるとは思いますが。
『カジノ・ロワイヤル』以来、007映画でこれほどまでに絶妙なドラマと刺激的なバイオレンスが展開されたことは個人的にはなかった。
冒頭のシークエンス自体がほとんど耐えられないほど強烈で、その後には映画全体の中でも最高のアクションシークエンスが続く。
実際、この映画の最初の1時間ほどは、アドレナリンが出すぎてヤバかったけど、クレイグが初めて007に出演したときから積み上げられてきたキャラと感情の顕著な底流によって支えられたかな。 
また、クレイグ自身もジェームズ・ボンドを全力を尽くしていることは明らかで、本作品がボンド役としての最後の出演作になる。
だからこそ、『ノータイム・トゥー・ダイ』は、すべてを出し切るだけでなく、シリーズの他の作品が導入した糸をじっくりと繋いでいくのがふさわしいんやろな。
クレイグとレア・セドゥーは相性が良いって感じたし、2人の演技力の高さがそれをさらに際立たせててました。特にマドレーヌ役のレア・セドゥーは素晴らしく、映るたびにその演技と美しさで野郎どもの心(小生だけかも)を独占した。
その演技を見るために入場料を払う価値があったかな😊。
加えて、アナ・デ・アルマス。
彼女は、その外見だけでなく、彼女が演じるパロマにもたらすものにも驚かされました。
彼女は甘くて魅力的で安心感を持っていますが、アクションシーンではボンドと肩を並べることができ、史上最高で最も印象的なボンドガールの一人となっています(これも個人的に)。

今作品の難点をつけるとすれば、テンポかな。
最初の1時間を過ぎたあたりから映画の勢いが弱くなってきた。
好調なスタートを切った後、映画は説明のシーンが多くなり、退屈するってことはありませんが、次の興奮の瞬間が始まるのを辛抱強く待っている自分に何度か気づいたかな。
また、サフィン役のラミ・マレックは、ボンドの悪役としてはやや物足りなさを感じました。
これはワザとやとは思うけど、ボンドがどこから来たのか、なぜ彼を選んだのかは理解できますが、『Casino Royale』のシッフルや『Skyfall』のシルバのような面白さは無かった。
とはいえ、彼の演技が決して悪いってのではなく、映画の中での彼の役割は理にかなっており、テーマ的にも満足のいく形で報われてはいます。
前作で導入されたストーリーとキャラの恩恵を受け、クレイグをスクリーン上の最高のボンドの一人として記念すべき強力な送り出し作品となってました。
面白さだけでなく満足感のある結末を待たせるだけ待たした視聴者に担うモンはプレゼントしてくれたと思います。

あ!忘れちゃいかん、この映画のタイトル曲には、伝説的なジェームズ・ボンドのテーマの有名なクラシックオープニング・ボンド・スティングというイースター・エッグが密かに登場する。
ビリー・アイリッシュは、今作品の音楽エピソードの中で、『ボンドの曲は、ボンドの曲のように聞こえないとダメなの。よく聞いてみると、2番目のヴァースでボンド・スティングを)聞くことができる。それはとても繊細で、とても響くの。でも、そうすることにしました。』
彼女の兄であり、この曲のプロデューサーであるフィニアス・オコネルは『この曲はロンドンでレコーディングされたのですが、そのときにボンド・スティングを使わないバージョンがあったんです。それで、元に戻そうということになったのですが、これが素晴らしいんです』と語っています。
ほんと実に007にあってるし、何よりも本作品に合致してました。
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