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007/ノー・タイム・トゥ・ダイのmurabonのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレにしてても、見てしまう人もいるかもしれないので、本当にネタバレになる部分は後半に書きたいと思います。

三度の延期を経てついに公開された最新作。
本当であれば有給を取得して鑑賞に望むところですが、銀行的には半期決算のドンピシャ忙しい時期ゆえ休むわけにもいかずレイトショーでの鑑賞となりました。

本作で25作目となるこのシリーズ。
主人公であるジェームズ・ボンドというキャラクターは特殊な立ち位置で、一人の人間というよりは概念のようなものであり、演じる俳優が変わっても全く問題なく同じキャラクターとして見ることができました。

タキシードを身に纏って、ワルサーPPKを持ち、ウォッカマティーニを嗜み、あの台詞を口にすればそれはもうジェームズ・ボンドなのです。

本作を見終えて一番に感じたことは、ダニエル・クレイグ版のジェームズ・ボンドは、ダニエル・クレイグ版のジェームズ・ボンドであって、これまで映像化されてきたジェームズ・ボンドとは全く異なる存在だということです。
彼が演じたのは自分自身を投影して楽しむこれまでのジェームズ・ボンドとは異なる一人の人間としてのジェームズ・ボンドなのです。

前々作「スカイフォール」、前作「スペクター」と2作続けてどこか腑に落ちなかった部分がありましたが、それは私の中でのジェームズ・ボンドというキャラクターと作中で描かれているキャラクターのミスマッチが起こっていたことが最大の要因だったんだと気が付きました。
正確には気が付いてはいたんですけど、受け入れられていませんでしたが、本作を見てダニエル・クレイグや制作陣が目指していたことも理解できました。
紆余曲折、批判もありながらも5部作を通して一貫した描き方をしてきた制作陣には頭が下がります。
1962年から始まった映画版007シリーズの長い歴史の中でこのようなアプローチの作品が作られることは二度と無いでしょうし、ダニエル・クレイグ5部作はシリーズの中でも特別な作品として今後も語られていくものになりましたね。

とりあえず、素直な感想としては、ものすごく楽しかったです。前作のようにガッカリすることはありませんでした。鑑賞できたことに感謝しかありません。
ダニエル・クレイグ版の中で最も007らしい作品であり、シリーズ史上最も挑戦的な作品でした。
前2作では物足りなかった、娯楽作品としての面白さ、外連味も十分だったと思います。
アクションシーンも印象的でパワフルなものに仕上がっており163分という長尺を全く感じさせない仕上がりになっておりました。
ダニエル・クレイグ版の4作品は絶対に押さえておいて欲しいところですが、追加で私が最も好きなシリーズ第6作「女王陛下の007」を鑑賞して行くのがベストだということをお伝えします。振り返ってみるとダニエル・クレイグ版は「女王陛下の007」に対してのアンサーとなる5部作だったように感じますね。

ここから少し細かい点や劇中の描写に触れていきたいと思います。ネタバレ含みますので未見の方は鑑賞後に読んでいただければと思います。







未見の方は帰りましたか?😁
ぜんぜんまとめられないので思いついたところを書いてみます。そのうち直します。


○気になったシーンについて
まず皆さん注目していたであろシリーズお馴染みのガンバレルシークエンスですが、しっかり冒頭にありましたね!
配給のユニバーサルからの流れるような導入は新鮮でした。
そしてダニエル・クレイグは彼の中で最初で最後のタキシード姿での登場でしたね!
銃を撃ったあとに血が流れないというシリーズ初の展開!ボンドが放った銃弾が敵に当たらないという意味合いなんでしょう。ガンバレル前のユニバーサルのロゴがシルバーメタリックだったのは、本作でボンドを苦しめるナノマシンを暗喩しているのでしょうかね。
しかもボンドの姿はゆっくりと消えていきます!ここは「女王陛下の007」を思い起こさせる演出でしたね。

オープニングシークエンスは過去のシーンから始まるという17作目の「ゴールデン・アイ」以来の珍しい展開!ただし、ボンド以外の人物の過去が映像として描かれるのはシリーズ初の展開ですね。
このあたりはボンド映画であることを忘れるようなスリリングな演出に引き込まれます!サフィンがドア越しに見えるあたりの演出はシリーズ第一作の「ドクター・ノオ」を思わせるニクい演出でした。
その後に登場するダニエル・クレイグはやっぱりかっこいい。彼が映るたけで画面に引き込む力がありますね。

その後のシーンで「女王陛下の007」で使用された「愛はすべてを越えて」のメロディが思いっきり流されるあたりは驚かされました。「女王陛下の007」のクライマックスでのあの台詞も出てくるあたり、ファンとしてはその後の展開に覚悟する部分がありましたね。

ヴェスパーの墓参りシーンも良かったですね。スペクターで無理矢理ヴェスパーを出されたときはイラッとしましたが、本作では丁寧に扱われていました。ボンドが墓参りするのは12作目の「ユア・アイズ・オンリー」以来の珍しいシーン。「スカイフォール」でも両親のお墓は映ってましたけどね。

その後のスペクターマークの登場からの展開も凄くいいです。仮面ライダーのショッカー張りの描かれ方でしたが、前作で正直薄っぺらく描かれてしまったスペクターを勿体ぶって出されても面白くないので序盤からガンガン前面に出してくるのはナイス判断です。

予告でも見せられていたアストンマーティンDB5が大活躍するシーンに移っていきますが、大興奮の素晴らしいシーンに仕上がっていました。

プレタイトルシークエンスの長さもびっくりでしたね。一回目なので時間計測はしてませんが、19作目の「ワールド・イズ・ノット・イナフ」が
持つ14分を超える長さでシリーズ最長記録ではないでしょうか。

前作はぶっちゃけ不満でしたが今作のオープニングクレジットは非常に良かったです。
一作目の「ドクター・ノオ」のOPオマージュを取り入れてるのを見た瞬間に目から涙が溢れました。その後も時計のモチーフや砂時計、三叉の槍を持つ女神など完全に「女王陛下の007」のオープニングを意識した展開に鼓動が高まります。
このあたりで、この作品は一作目の「ドクター・ノオ」から六作目の「女王陛下の007」までの感じで行きますんでよろしくお願いしますねっていうメッセージを感じましたね。

その後のウイルス兵器を絡ませた展開はこれまた「女王陛下の007」を思わせます。
久しぶりに007らしいシンプルに世界の危機を救う展開になっていたのは非常に良かったです。

中盤のカーアクションシーンではボンドがトヨタランドクルーザーを運転する展開に感動。5作目の「007は二度死ぬ」ではトヨタ2000GTがボンドカーと言われてますが、ボンドは直接運転してないので、日本車をボンドが運転するのは今作が初となるわけで記念すべきシーンです。

森林でのゲリラ戦のような展開も新鮮で良かったです。命乞いをする敵に対して車を落とすあたりは「ユア・アイズ・オンリー」の崖から車を蹴落とす名シーンを彷彿とさせますね。

後半の毒草の島については、原作版「007は二度死ぬ」を思わせる設定でファンはニヤリとするあたりですね。

○キャラクター、俳優陣について
ダニエル・クレイグは本作でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。本当にありがとうございました。あなたはずっと男が惚れるジェームズ・ボンドでした。

前作に引き続いて登場する貴重なヒロインとなったレア・セドゥは悲しげな表情が凄く魅力的でした。初期2作にもサブボンド・ガールのシルヴィアトレンチが続けて登場していましたが、メインは初ですね。

悪役のサフィンについては動機などキャラクターの設定としては弱いですが、前作のブロフェルドのように勿体ぶって描いてないのでそんなに気になりません。シナリオ上もう少し使いようがあったのではと思うキャラですね。

まさかの後任007役となったノーミも悪くなかったですね。愛すべきキャラになってました。

いつものM、Q、マネーペニー、タナーのMI6 の面々についてはしっかり後方支援に徹していて良かったですね。前作までは正直最前線に出しゃばりすぎてたと思います。

アナ・デ・アルマスが演じるパロマは予想したとおり出番は少なかったですが、すこく良いキャラに仕上がってましたね。ものすごくキュートでした😍

○演出について
撮影、映像はすごく良かったです。
前作では気合が入りすぎて肩がこるかんじでしたが、今作は飽きさせなくて楽しい画作りになってた印象ですね。
音楽について前作「スペクター」は「スカイフォール」の焼き直しみたいな手抜き感がある音楽だったので心配でしたが、ハンス・ジマー先生は流石の手堅い仕事ぶりでした。
脚本についても、ほぼ中だるみすることなく、ユーモアも自然に取り入れられていて良かったですね。
字幕については安定の戸田奈津子先生ということで不安がよぎりましたが、監修にボンドファンとして有名な酒井さんが入られてたので安心しました。ただし、字幕だけではニュアンスが伝わりづらい場面が多かったように感じましたね。英語が不得意な方は2回目は吹替という選択肢もアリですね。

○賛否両論の衝撃展開について
いやー、本作ではシリーズでも異例の展開が複数ありましたね。
まず第一はフィリックスの死。
ダニエル・クレイグ版だけ見てると深い関係性が見えない部分がありますが、シリーズ通しては重要な相棒キャラなので、ここまで明確な死が描かれるのは衝撃ですね。ボンドが復帰する動機付けとしては説得力がありますね。🥺

第二はジェームズ・ボンドの娘。 
まあ、いいでしょう。本作でしかできなかったでしょうし。😥

第三はジェームズ・ボンドの死。
途中から覚悟はしてましたが、これも本作でしかできなかったでしょう。この展開については冷静に考えるのにもうちょっと時間をください。😭

第二、第三の展開はよく考えたら1967年版の「カジノロワイヤル」でも描かれていましたね。
そのへんも含めて60年代の007にオマージュを捧げた作品だったのかもしれません。

何書いてるかマジで分かんなくなってきましたが、何度か鑑賞してからもう少しまとまった文章に直していきたいと思います。
とりあえず今夜は皆さんのレビューを読ませていただいて心を落ち着けていきたいと思います。

(10月2日追記)
朝イチで吹替版で再度鑑賞してきました。
昨日は、衝撃が大きすぎて冷静に見れませんでしたが二回目はある程度落ち着いて見れました。
結果的にはかなり良かったんじゃないでしょうか。ダニエル・クレイグの5部作を全体としてみれば許せる内容だったと思います。嫌いだった前作「スペクター」の評価もだいぶ上がりました。
吹替版はいい出来でした。字幕では分かりづらい部分も補作されてて理解が捗ります。ジョーク的な部分は字幕のほうがいいところもあったので、どちらも見てみましょう。
明日は、IMAX版予約してるので楽しみです。🤗
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