このレビューはネタバレを含みます
アニエス・ヴァルダと写真家JRのドキュメンタリー風ロードムービー。JRの喋りがかなりいけすかない野郎でした。
前半はスタイリッシュさが余りに全面に押し出されていて、うんざりしそうな気配もありましたが、終わってみれば素晴らしかったです。
人々の写真を構築物に貼るというプロジェクトは写真の良さもさることながら、それを見る被写体の反応が美しい。皆とてもいい表情で、芸術とはかくあるべしと思い知らされたようでした。
後半はヴァルダの記憶を辿る構成。どこまでヴァルダが撮影に絡んだのか怪しかったですが、ラストのシークエンスはヌーヴェルヴァーグの生き証人たるヴァルダの面目躍如。まだ生きてるゴダールをこういう扱いできるのは彼女だけでは。
どう共作されたのかはよく分かりませんでしたが、2人の存在感がぶつかり合うこともなく過不足なく美しく示された名作でした。