[追記コメ]
思っていた以上に史実事件をモチーフにしていたと後から知ってびっくり。となればまったく印象が変わってしまう。主に悪い方へ。
作中では"あの事件"を過去のこととして全容に触れないため、どれだけのことを仕出かしたのかを伝えていない。
あくまでフィクションの演者としての瑛太さんが凄いのであって、実在の人物とは別もの。
主演加害者がみな殊勝な態度であり、彼ら以外の悪人の登場に思考誘導され気味。
あの事件と重ねていると知った途端に拒絶反応となったのは、私は作中の同僚や夏帆さんらと同類なのだろうなと。そして作中での彼らは良い描かれ方はされていない。
また、少年A一人に焦点を絞るのではなく、様々な人物が登場し、全員を一律"加害者側"とひと括りでまとめている。後悔も事故も犯罪も。
結果、誰しもが抱える自責の念ですら、少年Aの犯罪と同列扱い。
負い目に思っていることがあるならば他者の犯罪を許せというのは、なにやら話がすり替わってる感。
家族を作って娘が出来て、苛められたり強姦されたり無免許の若者に轢き殺されたりしても相手を許せるんだろうか。
[初期コメ]
加害者たちの抱えているものとは。人生ままならない者たちを集約した物語。
原作：小説『友罪』薬丸岳著。
1時間に渡る群像劇。蜜月や悲喜こもごも。後半折り返し怒涛のヴァイオレンスかと思いきや、至極真面目なまま。まともで現実的なお話だった。
見るからに危なそうな瑛太さん。葛藤し破裂寸前な生田斗真さん。『GONIN』の佐藤浩市さん。
このメンツに対し、噛ませ役っぽい奥野瑛太さんや忍成修吾さんが出てきたもんだから、てっきりドヤァ展開になるかと。リアルに近づけるならそう簡単に殺傷沙汰は起きないものだ。
生田斗真主演。前情報なしで『グラスホッパー』『秘密 THE TOP SECRET』と来て、同じノリのまま見ていたので逆に驚いた。
作品紹介に、児童殺人事件、凶悪事件の犯人少年Aとあったのでクライムアクションものと思っていた。
にしても評するのは難しい作品。苦悩や葛藤に理解は示せても、加害者という存在に共感出来ない(したくない)ので、立ち位置を定められない。
事故ならまだしも事件を起こした者は自らの意思で行ったこと。後悔している人たちがいるのは確かだろうが、そうでない人が大勢いることも事実。特に少年犯罪で刑期を終えた後の再犯率などを聞くに、同情するならまず被害者側でしょって話。
ぶっちゃけリアルの友人知人には自殺者、人を轢き殺した者、ともに居る。生家にも音信不通の失踪者、家ごと消失した行方不明者も。そして一番多いのは泣き寝入りするハメになった面々。
警察も法律も神ではないので取りこぼしは幾らでもある。それらより加害者を優先ケアするのはなんだかなぁと思っているだけ。
原作未読なのでどういうコンセプトの小説か知らないけれども。映画の中で、むしろ捕まったのは運が悪かったって言うくらいのクズが出ていたならば、少しは主人公らに感情移入できたやも。
鑑賞 2020.10.04 チャンネルNECO
