彦次郎

ブラッド・スローンの彦次郎のレビュー・感想・評価

ブラッド・スローン(2016年製作の映画)
3.5
飲酒による交通事故で同乗者を死なせたジェイコブが収監された監獄でギャングの傘下に入り人生が変わっていくドラマ。
ジェイコブが出所したところから始まり事故を起こした過去から刑務所での出来事が交差して描かれています。始めは髭面のジェイコブと結びつかなかったくらいムショ入り前と後で別人のようになっているジェイコブ演じたニコライ・コスターの演技力が凄いです。
アメリカの刑務所制度は分かりませんが交通犯罪でも凶悪犯罪者の集まりみたいなところに収監されるようで生き抜くために悪事に身を染めざるを得ないという更生施設の理念に反する逆説ぶりです。弱みを見せたら終わりというところでジェイコブが殴りかかるのもやむなしですが、やはり妻子が不憫。ジェイコブギャングとなっても理性的で且つ家族への想いはキチンとあるので一層家族間のやり取りが切なかったです。
メル・ギブソンの『キック・オーバー』のメキシコ刑務所では金さえあれば自由というカオスさでしたが本作ではギャングの権力者ビーストの庇護のもとの自由となっており娑婆に出ても縁が切れないという恐ろしさになっていました。
先日見た日本の無期懲役者のドキュメンタリーでも受刑者たちは肉体を鍛え上げていましたがアメリカでも同様に肉体鍛錬がされているようで閉鎖空間での心理状態として興味深いものがあります。
サバイバルを生き抜くためには筋肉とタトゥーと知恵と覚悟が必要なことが分かりました。飲酒運転撲滅の啓蒙動画としても役立ちそうです。
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