Fitzcarraldo

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

2.8
韓国のアカデミー賞と云われている第54回大鐘賞(2017)最優秀作品賞と企画賞を獲得した光州事件を基に描いたキム・ギドクの弟子であるチャン・フン監督作。

脚本にオム・ユナ。
この脚本家の情報が全くない。
新人さんなのかな…?

大鐘(テジョン)賞は第52回の際に【大鐘賞に出席しない俳優には授賞させない】という発言で自らその権威を貶めることになり、”出席賞“の議論の的となり、映画人から総スカンを食らっているらしい…復権はできたのかな?

主演男優賞にソン・ガンホが選ばれてないということは、ソン・ガンホは映画祭に出席しなかったのかな…


光州事件は1980年5月18日〜27日にかけて、韓国南部の光州市を中心として起きた民衆による反軍事独裁・民主化闘争運動である。デモ参加者は約20万人にまで増え、実権を握る全斗煥の軍が市民を暴徒とみなし実弾で発砲。被害者の全容解明は未だになされていない。

全斗煥(チョン・ドゥファン)は後に虐殺罪に問われ死刑判決を受けるも、大統領特別赦免。
なんだそれ…赦免はダメだろ!大統領なら何してもいいのかよ…

安倍晋三も同じか?権力を使って逃げ回り、ほとぼりが冷めたら、何食わぬ顔で平然とまた出てきそうで…


物語の話を…
冒頭。

オープニングからCG使うのやめてくれって!何度もお願いしてるのに…CG連打!

映画館より家のテレビの方がCGが目立つのかな…やたら浮いてるように見えて不自然極まりない。実写で何とかならなかったのか。

1980年の光州市より現在の光州市が栄えてしまって見た目の印象が違うので、CGなんだろうけど…そこは田舎の町並みで代用できなかったのか…CG使って当時の再現をするより、光州市ではないけど、雰囲気は近いという場所でロケした方がいいと思う。

そこはウソついていいと思うんだよなぁ…

そもそも空撮を選択したセンスが疑わしい。
さらに道路を走るクルマもCGなのが気持ち悪い。この映画の雰囲気をスタートで決めてしまうので、これでは見る気が失せてしまう。

タクシーに乗ってる映像が多いのだが、なんだろうこの違和感は…ほとんど合成なのかな?車は動いてなくてグリーンバックでの演技かな?メイキング映像見てないから分からないけど、たぶん合成だと思う。

実景とは明らかに違う不自然さ。

タクシーのシーンは、ほぼ全てが気持ち悪くて、なかなか集中できない。

なぜこうなってしまったのか…
CG描写がホントに萎えるなぁ…


○キム家の居間
韓国一の名優ソン・ガンホ演じるタクシー運転手のキム・マンソプと、ユ・ウンミ演じる娘キム・ウンジョン。

晩ごはんを食べる二人。

キム・マンソプ
「うまいなぁ…これならいつでも嫁に行ける」

キム・ウンジョン
「サングのママが作った」

マンソプ、口に入れていた食べ物をペッと吐く。
それがキチンと汁物のお椀の中へゴール!

ベタだけどね…ソン・ガンホだから笑ってしまう。今まで彼が積み重ねてきたユーモアが、見ているこちらにも積み重なっているので、その歴史でやはり笑ってしまう。


○タクシー
通訳をしてくれたリュ・ジョンヨル演じるク・ジェシクの学生を降ろす。

キム・マンソプ
「(運転席の窓を開けて)おい待て!名前は?」

学生
「ク・ジェシク」

キム・マンソプ
「歌謡祭を見るから頑張って練習しろよ」

二人とも微笑みあい、別れる。

単に名前だけ聞くのは、なんだかわざとらしいのだが、歌謡祭に出るために大学に入ったという彼の夢を前のシーンで聞いていたから、彼の名前を聞いて「歌謡祭を見るから頑張って練習しろよ!」という、この台詞が素晴らしい!

あとあと彼は死ぬんだろうけど、こういうひょんな出会いで若者が夢を語ったら、それを聞いた大人は応援するもんだし、見るよ!ってやっぱり別れ際に言ってくれるもんなんだよね。

何度言われたことか…



光州のタクシー運ちゃんたちの顔が最高の精鋭揃い!キャラの立ち方が尋常じゃない!

ラシュモア山に彫った方がいいね。
彫り甲斐のある素晴らしい顔をしてる。

特に際立つのは、ユ・ヘジンだろう。
もう何とも言えん!
アパガードでお馴染みの「芸能人は歯が命」だが、「役者は顔が命」と韓国映画を見る度に思う。

潤沢なバイプレーヤーの顔を持つ韓国映画界!
羨ましい限り。

日本にもいると思うけどね…大手のバーターとかあるし毎回毎回同じような奴ばかり使うから新陳代謝していかないし、仕事がないから生活できないし、みんな辞めてしまう。

いい顔の役者が残っていけるような業界に育っていってほしいと強く願う。

そして、ユ・ヘジン演じるファン・テスルの妻が、パラサイトで家政婦を演じたイ・ジョンウンやないの!いいねー!登場回数は少ないけど、やはり印象に残るねぇ。

彼女の何がそうさせるのか…
別段、特別なことをしてるようにも見えないのだが…やはり顔かなぁ。いい顔してるもんなぁ。

こういう顔の女優さん日本にいないもんなぁ…
日本は綺麗どころばかりに需要が傾き過ぎている気がする。それじゃバランス取れないのよね。


○タクシー会社(明け方)
応急処置をした自分のタクシーに乗り、こっそりとソウルへ帰ろうとするキム・マンソプ。
そこへファン・テスルが慌てて来る。

ファン・テスル
「ソウルナンバーのままじゃ捕まるぞ。帰るなら言ってくれなきゃ。(包みを渡す)これを。それから地図も」

包みを開けると光州ナンバーが。

ファン・テスル
「この道は、地元の人もあまり知らない。(地図を渡す。さらにポケットに手を入れ)ピーターが渡してくれと(お金を渡す)」

キム・マンソプ
「貰えない」

ファン・テスル
「なんで?客を乗せたら料金を貰わないと!いいから」

キム・マンソプ
「金は受け取れない」

ファン・テスル
「車の修理代も必要になる。受け取っておけ」

キム・マンソプ
「力になれず、申し訳ない」

ファン・テスル
「…謝ることはない!悪いのはやつらだ!」

この時の顔ね!高ぶった感情が全部顔に乗っかってる。素晴らしい表情!

ファン・テスル
「次は娘さんを連れて遊びに来てくれ」

キム・マンソプ
「お元気で」

ファン・テスル
「また、いつか」

ソン・ガンホとユ・ヘジンのベテラン二人の掛け合いが素晴らしい!大仰に表現するのではなく、抑えて抑えて抑えて、それでも表情に溢れてしまうという演技が最高!


○タクシー
キム・マンソプ、このまま光州を後にする。

『順天 20km』
という看板の道を行く。

これって光州をもう抜けたのか?軍隊に包囲されてるんじゃないの?
ファン・テスルにもらった地図で、地元民も知らない道を使って光州市を突破したのか?


○車屋

店員さん
「修理するのに1時間はかかるよ」

電話を借りるキム・マンソプ。
だから、ここが戒厳令下なのか、外なのか?
光州市内なのか市外なのか、分かりにくい!
どっちよ?

○小売店が並ぶマーケット
靴を選ぶキム・マンソプ。

ほのぼのとしてる雰囲気なので、戒厳令下ではなさそうだなと察する。

○食堂

キム・マンソプ
「ククスを」

なにククスって?
冷麺みたい…。旨そう。

店の客
「光州に入れなかった」

店のおばちゃん
「かなりの死者が出てるそうね。市内に軍隊が入ってきて、まさに修羅場だって」

店の客
「どうして?」

店のおばちゃん
「分からないけど、大勢死んでるし、逮捕者もかなり出たらしいわ」

店の客2
「そうじゃないだろ。学生デモのせいで軍人に死傷者が出たって」

店のおばちゃん
「違うわ!市民が撃たれるのを見た人がいるのよ」

店の客2
「ニュースで見たが、アカの学生達らしいぞ。それと反社会的勢力」

おばちゃん
「本当に?それもニュースで?」

店の客2
「そうだよ。新聞の一面にも載ってた」

キム・マンソプ、カウンターに置いてあった新聞を読む。【光州デモで軍人・警官5人死亡 反社会的勢力と暴徒ら】とある。

ニュースが全てと思ってる人が思いのほか多いことに驚く。この客のような会話は、日本でも至るところでなされている。
こういう頭の固い人たちには、何をどう伝えてもおおよそ理解されない。

感度が悪すぎる。

同じ過ちを繰り返すべきではない。
歴史を学ばないから理解できない。

人間は天使になろうとして豚になる存在という自覚を常にもち、腹の底に孕む狂気を、いかに抑えつけるかを学ぶべき。


話を戻すと…

この会話でキム・マンソプが光州の外に出たのは明らかになったのであるが…そうなると別の問題が出てくる。

光州に入る時には、どこの山道にも軍隊による検問所があって容易に入れなかったという描写があった。

関所の如く守っていた検問所をキム・マンソプは、どうやって出たんですか?

これは誰もが普通に引っかかると思うのだが…これは気になるだろ?
華麗にスルーされてしまっているのだが…

ファン・テスルの手書きの地図、地元の人も知らないという抜け道を頼りに、光州を突破したんだろうなぁ…とそう解釈するしかないよね?それくらいしか自分を納得させられないのだが…


○タクシー車内
歌を歌いながら、感情が露わになって泣き出す。

キム・マンソプ
「どうしたらいい?」

葛藤した挙げ句…Uターンして引き返す。

さっき通った『順天 20km』の看板があった道を通るキム・マンソプ。


タバコを吸ってる幹部の軍人。
視線の先には多くの軍隊が駐屯している。


○ファン・テスルの家
入口の硝子をノックするキム・マンソプ。

??????

え…と…どうやって光州に入ったのかな?
ワープ?!ワープしたよね?!
そんな簡単に入れるの?
これって当然、光州を出る時に使った同じ裏道を使ってまた入って来たってことでいいんだよね?
地元の人にも知られていないという道だよね?

ファン・テスルは地元の人だけどね…
「地元の人も知らない道だから」っていうのは外部の人間が言う台詞だと思うけど…

アンタ地元やん!とツッコんでほしかったが…

奇跡の抜け道を通って来たんだよね…と納得するしかないのだが…

これがフリなんだよね。


というか…なぜキム・マンソプを光州から一度出したのか?それが理解できない!わざわざ光州を出す意味ないと思うけど…

光州から一度出すことで、余計なノイズになってしまったのは間違いない!

キム・マンソプのモデルになった実際のタクシー運転手さんは、ひとりで光州を出たの?それで戻ってきたの?

ここは絶対に創作だろ?
余計なんだよなぁ…

劇的にしようとして、それが余計なノイズとなり逆効果というパターンは非常によくある。


○病院
軍隊が突然撃ってきたと…
ファン・テスル達は現場に向かう。

ファン・テスル
「二人はソウルへ戻れ」

Thomas Kretschmann演じる記者のユルゲン・ヒンツペーター。

ユルゲン・ヒンツペーター
「私も行く。あなたは帰ったほうがいい」

キム・マンソプ
「まて。料金をくれただろ。一緒に行く。俺は運転手。あんたは、お客さんだ。そうだろ?」

んぅ…いちいちセリフのやり取りは要らないんでないか?クドい。


○路上
まさにミャンマーで行われている軍隊による、国民への実弾射撃。

これはホントにどうかしてる…。

ミャンマーでの実際の現地での映像を、いくつも見てしまったので…CGの使用箇所が映る毎に、あぁ〜ぁ…と溜め息がでてしまう。どうしても造り物という印象と共に、映画だからな。と冷めた目線にならざるを得ない。

事実は小説より奇なり。
現実が映画を超えてしまっているために、なんだか複雑な気持ちに…

光州事件を知らない世代が増え、忘れ去られてしまわないために本作を作ったと監督は云っていたが。それも大事なことだけど、いま全く同じことがミャンマーで起きていて…

金や利権に目が眩んだ人間の果てしない欲望が生むこの悲劇の繰り返しに、何とも云えない感情にならされる。

なんなのこの馬鹿チン共は…

日本でも忖度、金銭授受、不明金、汚職と…大きく見れば、やってることは同じことやろ。

舐め過ぎてるって…国民のことを!

制度を利用して、欲深きまでに啜り続ける。

嫌んなっちゃうよ…

何千年も繰り返してるんだから、人間のもつ不治の病であろう。
感染病よりも一番恐ろしい病ではないだろうか…
何が恐ろしいって、人間なら誰しもが其れを孕んでいるということである。

もちろん、私も。

その自覚を常に持ち、其れを監視し続けることが人間の役割りではなかろうか…


話を戻す。

タクシー仲間たちと一緒に、タクシーを盾にして負傷者を助ける。

撃たれていく民衆を見つめるソン・ガンホの表情!さすが…素晴らしい。


○タクシー車内
ここは俺たちに任せろとファン・テスル。

軍隊の騒乱をバックミラー越しに見つめるキム・マンソプ。ここもいい顔してます!


しかし、ずうっと感傷的な音楽が鳴ってるのがCG同様に気になってしまう。

毎日、彼氏彼女に好き好きと言ってたら軽くなるでしょ?言葉が…慣れていき、当たり前となり日常化されて習慣になったら、気持ちなんか入ってなくても言えてしまう。

ちょっと逸れた…。

とにかく、ずうっと感傷的な音楽だから、耳が慣れてきてしまう。 要所の、ここだ!ってところで盛り上げればいいのであって、ずっと流れてるのは違うと思う。


○私服軍隊の車
チェ・グィファ演じる私服軍隊のリーダー。
この人も色んな映画でお見かけするが、味のある印象的な顔つきをしている。

リーダーの男
「検問所を封鎖しろ」

封鎖しろもなにも、随分前から既に封鎖してたけどね。

はい、ここからですね…。
ようやくフリの答え合わせ。

つい何時間か前には、光州を問題なく突破できた上に、さらに光州に難なくまた入ってこれたキム・マンソプ。

ここから急に光州から出れなくなります!

なぜ なぜ あなたは
光州を 出れないの

安全地帯の『恋の予感』唄っちゃうよ!もう!

ファン・テスルの教えてくれて地元の人も知らない道を使ったんだろうなぁという納得をしてたんですけど…

ここから出れなくなる=さっきはどうやって出たの?ってなりますけど…さらに、どうやって入ったの?って疑問が増えていくんですけど…

だから、わざわざ出さなくて良かったのに…

より劇的にしようとして、一度出したのか知らないけど…完全に逆効果でしょ?!

さっきは、どうやって出たのか?説明してくれ!
そして、どうやって入ってきたのか?説明してくれ!


○タクシー車内
山の中の検問所を目視で確認。

ユルゲン・ヒンツペーター
「行けるか?」

キム・マンソプ
「大丈夫。必ず空港に行ってみせる」

と言ってファン・テスルに貰った地図を見る。

え?いまさら見るの?
その道で出たり入ったりしたんじゃないの?
もう一往復したら覚えるやろ?タクシー運転手やろ?

さっきは、どの道で抜けたのよ?その道を通りなさいよ!

ファン・テスルが書いた抜け道って何本もあるの?そうなの?どうなの?よく分からないんだけど…

結局、違う道にも検問所が…。
そのまま一か八かノープランで進む。

「検問所を封鎖しろ」って私服軍人のリーダーが無線で指示出したんだから…つうか、封鎖しろ!じゃなくて、名前まで把握してたんだから、外国人記者のユルゲン・ヒンツペーターと一緒に乗ってる緑のタクシーって指示出せよ。

ここで軍部の行動に批判的な人物が検問所のリーダーで、彼がソウルのナンバーを発見すると見逃してくれて「通せ!」と…

まぁここはいいけど…一度出てるし、また入ってきてるし…っていうのが、どうしても引っ掛ける。

検問所を抜けると、すぐさま私服軍人の車が真後ろに!いやいやいやいや!そりゃないよ!

それは無理だよ。

せめて時間経過のカットを挟めよ!
いきなり真後ろは編集が粗すぎるだろ!

せめて先程の検問所の連中が追ってくるならまだわかるけど…

なんだかなぁ…
しかも4台!4台に囲まれる。

すると道のない森の中から、突然、鹿のように横入りしてきたファン・テスルのタクシー。

いや無理だろ!どこを抜けてきたんだよ。完全に道なかったところから現れたけど…しかも検問所の外側だよ…しかもタイミング良すぎるし…

さらに少し行くと仲間たちが横の道から登場!

検問の外だよね?あなたたちも、これだけ一緒にどうやって抜けてきたの?

ここのカーチェイスシーンも違和感しかない。
ほぼCGだと思われる。


○金浦国際空港 保安管理課


「(電話)捜していますので、ご心配なく」

男2
「航空券の予約リストです」


「(リストを見ながら)見つけました!明日の日本行きです」

○搭乗カウンター
ユルゲン・ヒンツペーター現る。

CA
「明日22日の10時の便で予約を承っています」

ヒンツペーター
「キャンセルして一番早い便で日本に行きたいんだ…今日中にね」

え…このキャンセルと予約の取り直しは、保安管理課に伝わらないの?なんで?まだ80年代のアナログ時代だから?…にしてもお粗末過ぎないか?

カルロス・ゴーンじゃないんだから!
そんな簡単に出国できちゃうの?


最後の別れ…ソン・ガンホの表情は言うことないんだけど…

キム・マンソプが見送るなか、国際線の出発ゲートへ入っていくヒンツペーター。
ここで制服の空港職員にパスポートとチケットを渡して、ソイツも確認してんのに、そのまま返却して普通に通してしまう。

え?ホウレンソウは?
報告、連絡、相談…
え?指示出してないの?

名前まで分かってるんだから、搭乗カウンターや出国ゲートの係員には伝えるだろ?
「ユルゲン・ヒンツペーターが現れたら通すな!」って指示出してないの?

あまりにも呆気なく通れてしまうので、せっかくのソン・ガンホの表情も逆に萎えてしまう。
いい顔してんだけどな…

ここで”ARGO”(2012)的な、飛行機に乗る乗れないの?というハラハラがあっても良かったんちゃうの?

もしくは『新幹線大爆破』(1975)のラストのような空港での逃走劇的なのも…できたよね?

特に何も起こらず、やけにあっさりしてる。


○空港
『2003年12月』

韓国で表彰される歳を重ねたユルゲン・ヒンツペーター。

会いたいと切望するも、二人は結局、最後まで会うことがなかった…これは再会しないで正解だね。そっちの方が余韻があるもんね。

○タクシー車内
まだタクシー運転手をやっている歳を重ねたキム・マンソプ。

ユルゲン・ヒンツペーターの表彰された新聞記事を目にして、 

キム・マンソプ
「こうして写真だけでも、顔を見られて嬉しいよ。あんたも歳をとったな…」

そして新たに、お客さんが乗ってきて走り去って終わるというのは良い。 

エンドロールで生前のユルゲン・ヒンツペーター本人が、まだ会いたがってるというのがまたいいね。それだけのことを経験したんだろうね共に。まさに戦友なんだろう…

こういう人間関係を築けたという人生は幸せだなぁ…と嫉妬したものを感じてしまう。

どうしても、もう一度会いたいという人間がこの先に自分の人生に現れるのか…?いないだろうなぁ…それも寂しい。


映画公開の後に、キム・マンソプのモデルとなったキム・サボク氏の息子を名乗る人物が現れたとか…

父とユルゲン・ヒンツペーターのツーショット写真を公開。息子によると、当時、父は高級ホテルが運営していたホテルタクシーに属していたようで、英語は堪能で外国から来たジャーナリストなどをよくを乗せていたという。

ホテルに属していたから、タクシー会社の名簿や個人タクシーの組合名簿にもキム・サボクの名前がなく、本作の映画のようにキム・サボクという名前すら偽名だと思われてしまった。

1984年には持病により50代の若さで亡くなってしまったと…

事実は小説より奇なり

事実の方が劇的だった…
Fitzcarraldo

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