成川ジロー

小さき勇者たち 〜ガメラ〜の成川ジローのレビュー・感想・評価

4.5
色々事情があって平成ガメラ三部作からこの作品まで連続で見てきましたが、この作品が一番好きです。方向性が違うから一概に比べられるものではないんだけどね。大人が真面目に頑張るリアリティの濃い平成三部作も勿論好きですよ。でも昔からドラえもんの映画(特に『日本誕生』が好きでした)とか、『遠い海から来たQOO』とかジュブナイル映画が大好きなんで、だからこれは怪獣映画って言うよりジュブナイルの色が強くて、ツボにハマってしまってしまったんだと思います。個人的に言えば大傑作ですコレ。
異種間の友情と子供たちの勇気と成長、そして別れを描いているド定番、ド鉄板、ド直球、王道ド真ん中なジュブナイル。しかもその成長する「子供たち」、タイトルの「小さき勇者たち」にはガメラ自身も入っているという、見事な構成力。主人公以外の子供もありがちないるだけの存在になっていないのが本当に素晴らしい。ちゃんと役割があり、活躍する。
それでいて特撮部分は全く子供だましになっていなくて、勿論平成三部作の作風とは違うから破壊力・爆破力では負けているけど敵怪獣のジーダスはかなりエグく人を食うし建物もガンガンぶっ壊す。ちゃんと怖い。ガメラは格好良い!とはいかないところはちょっと残念だけど、デザインは可愛さに振っていて見ていてとても和む。戦闘中でも和んでしまうのが難点(笑)
音楽も今回北欧風のケルティック(ノルディック?)な音楽が凄い好き。

さらっと描く男三人組の仲の良さ。
父の真摯さ。
これもさらっと描く隣のお姉ちゃんがいかに母親を亡くした主人公を気にかけているかの描写。
速攻で大きく成長するお約束ギャグシーン。
ド定番の子供たちだけの秘密のペット。
最強のトトコンビ!
危ないときにキター!!!と言わせんばかりに助けてくれるトト。
ただ駅で三人の子供が歩いているところを少しスローにしてマーチ風の音楽流しただけなのに5億点レベルの最高のシーンになってる、子供たちだけでの旅立ち。
全力で避難所の校舎を横切る父。
全力で人波を逆走する3人組。
バトンリレー。
トトとトト。
ラスト。

好きなシーン上げればキリが無いです。
そっちに重きを置いてないから仕方がないかも知れないんだけど、政府側のキャラが何か微妙なのと、小出しにしてたジーダスの発生はもうちょっと上手く描けないかなとは思った。

俺もガメラ飼いたい。
成川ジロー

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