小松屋たから

鈴木家の嘘の小松屋たからのレビュー・感想・評価

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)
3.2
身近な人の喪失は誰もが悲しい。それを延々と語り続ける映画。

宣伝やタイトルから、正直、コメディを期待して観に行ってしまった。
でも、しまったとは思わなかった。

しかし、これほど周囲に罪悪感を持たせたまま自ら命を絶った兄の罪は重いな・・死は自分のものではなく、周囲のものなんだということを改めて考えさせられた。

「長男はアルゼンチンに行った」という嘘を信じ続ける母は、実は騙されたふりをしているのかとも思ったが、そうではなかった。母の息子への愛とはそれほどピュアで盲目になるもの、ということなのであろう。

カウンセリングの話とうさんくさい霊媒師のくだりは必要が無いように感じたが、「相手は誰でもいいからまずは想いを吐き出すことが必要」というのは監督の実体験からだろうか。であるなら、そこに笑いの要素を入れ込んだ監督のセンスは素晴らしく映画的だと思った。

ただ、それを踏まえてもちょっと長い。120分以内に収めればもっと良い興行成績になったかもしれない。でも監督が思いを抑えきれなかったんだろう。そこらあたりの表現とビジネスのバランスの取り方については今後の監督とプロデューサー陣に期待。