このレビューはネタバレを含みます
戦前、西表炭坑に統治下台湾からやってきた管理人の娘、橋間良子ばあちゃんに迫るドキュメンタリー。いわゆるドキュメンタリーとは、まるで違う撮り方。
バアちゃんとの距離を一切感じさせない構成が素晴らしかったです。そして風景のショットがキマりまくり。画で語らせるような構図がいくつもありました。
おそらく俳優を使った再現カットを重ねているのも幻想的で良かったんですが、終盤は少しクドく感じました。
解説的な映像は一切なくバアちゃんの語りのみで過去を想像させる構成も見事でした。ルイスの存在がアクセント。バアちゃんが裏で文句言ってるのが面白い。
西表炭坑の詳細は殆ど伝わらないのですが、ただただ過去に思いを馳せる、という点に絞り切っているのが素晴らしい。
実態に迫るようなドキュメンタリーを想像していると拍子抜けでしょうが、その枠を超えて、バアちゃんを通じて今と過去をで繋ごうとする名作でした。