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バッド・ジーニアス 危険な天才たちのryacのレビュー・感想・評価

5.0
試写会にて。
もともと期待値は高かったものの、予想を遥かに上回る力作でした!

卓越した頭脳を持つ特待生のリンは、報酬と引き換えに多人数ぐるみのテストのカンニングに協力することになる。持ち前の知恵とセンスでカンニングを成功させ大金を稼ぐも、ある時誠実な秀才、バンクに犯行を暴かれ……

試験での不正行為をテーマに学歴社会・成績至上主義を痛烈に風刺しつつ、スリリングで手に汗握るクライムサスペンスの魅力全開。
やってることはテストのカンニングなのに、あたかも命のやり取りをしているかのような緊張感に満ちたシーンには目を奪われっぱなし。
現代の厳重なセキュリティを掻い潜って、あの手この手のテクニックでカンニングを成し遂げる爽快感!

ダニー・ボイルやフィンチャー作品を彷彿させるような映像美と、ハイテンポかつ重厚な心理描写も圧倒されるポイント。『鉛筆でマークシートを塗りつぶす描写』までもがめちゃくちゃスタイリッシュ。

 登場人物もみんな人間味に溢れてて、現代に生きる若者たちのエネルギッシュな青春物語でもある。
カネと友情のために巨大な組織や制度に果敢に挑んでいくリンたちの姿は、さながら上映前のトークショーで監督が大きな影響を受けたと語っていた『グッド・フェローズ』にも重なるかもしれない。やっぱり、「不良のインテリ」って凄い魅力的。一緒にいて楽しそう。
 とくに印象深いのが、リンのカンニングを告発し、のちにライバル関係になっていくバンクという人物。生真面目で不器用で一筋縄ではいかない彼は、細々と一人でクリーニング屋を経営する母親のために……

サスペンス、愛憎、カタルシス……終始感情を揺さぶられっぱなしの130分。
早速もう1回見たい欲求に駆られ、劇場公開があまりに待ち遠しい……
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