きよぼん

劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-のきよぼんのレビュー・感想・評価

3.3
冒頭にドラマのおさらい映像は流れるし、お話的にもドラマを観ていないと、どうしても理解できないところはありません。自分のように映画版が初めてという人でも大丈夫。しかし、悪い意味でなく、この映画はドラマ版のファンへ向けた「ありがとう」の映画だと思う。

若手から、責任ある立場へ成長した医師たちの何気ないセリフには、これまで「積み重ねた時間」への思いがにじむ。そして、そのセリフに感動できるのは、長い時間をかけて、ドラマ版で彼らをみてきた、「積み重ねた時間」を過ごしたドラマ版のファンの人たちでしょう。そして製作者側も長いシリーズを制作するために「積み重ねてきた時間」がある。

この映画は製作者、出演者から見てくれたファンへ向けた「ありがとう」であり、同時に素晴らしい物語を贈ってくれたファンから作り手への「ありがとう」でもあります。お互いが長く時間を積み重ねてきて至る感動。今回は「これって1本の映画としてみるとー」という見方はちょっと無粋なのでやめておきましょう。

あと一言書いておきたいのは、この作品の美術、設定、脚本における医療現場のリアリズムについて。自分は医療の人間ではないので、この作品の医療現場がリアルかどうかは判断つかないけれど、リアリズムに挑戦していることは感じ取れます。

「これって現実と違う」「誤解を生むような表現はやめろ」など、描写にうるさい世の中で、しかも、ひときわ何かといわれる医療という設定で、リアリズムある描写に挑戦しつずけてきた製作者のスタッフに拍手を送りたいのです。

このリアリズムも、長い時間をかけて獲得していったノウハウの賜物だったのではないでしょうか。やっぱり「積み重ねた時間」には意味がある。
きよぼん

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