mimitakoyaki

ナイス・ピープルのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ナイス・ピープル(2015年製作の映画)
4.2
国連UNHCR 難民映画祭2017にて。
台風のさなか見に来ております。

内戦を逃れ、スウェーデンの田舎町ボーレンゲで暮らすソマリア難民の若者たち。
住民との交流が希薄な中、ある地元の事業家が「バンディ」という伝統的な氷上スポーツのソマリア人チームの結成を思い付く。
8ヶ月後に迫る世界選手権を目指して特訓が始まる中、若者たちはやがて祖国での過酷な体験や異国での孤独感について胸の内を明かす。
果たして彼らはバンディを通じてスウェーデンに居場所を見つけることができるのか―。
〜あらすじより〜

いやー、きのう見た難民のドキュメンタリーは重く厳しい現実を突きつけられましたが、本作はポジティブで明るい作品で心があったかくなりました。

ソマリアから遠く離れた雪の国のスウェーデンでもソマリア難民をたくさん受け入れているのですね。
田舎町の住民は、移民増えすぎとか街を乗っ取られるのではとか、何か問題を起こすのではという漠然とした不安を感じている人も多い中、ソマリア難民によるバンディのソマリアナショナルチームを作ろうという発想が面白いし、はじめからソマリア難民とスウェーデン人の距離を縮める事を目的としていたというのが素晴らしいと思いました。

雪のない国のジャマイカ人がボブスレーでオリンピック出場を目指す「クールランニング」や、卓球で韓国と北朝鮮の合同チームを作り世界選手権に出場する「ハナ」などを思い起こさせます。

ソマリア難民の青年たちが、やった事もないバンディというスポーツ(アイスホッケーみたいなやつです)にチャレンジするのは大変です。
とにもかくにもアイススケートが出来ないと始まらないので、まずはそこから練習がはじまり、まさしく七転八倒しながら世界選手権を目指すわけです。

コーチやスポンサーやメディア対応をするスウェーデン人も苦労しながらこのソマリアチームを必死で作っていく。
そうしながら、なんとなしユルユルとやってる感じのソマリア青年たちなんだけど、母国にいた時の凄惨な経験やまだ国に残る母親の事など、胸に抱えている事がわかってくると、国籍とか関係なしに人としてその悲しみに寄り添い距離が近づいていく感じも心を打ちました。

そして、あまりに過酷な経験をしてきて互いに遠く離れてるからなんでしょうけど、お母さんへの思いが本当に強くて驚きました。
お母さんてどんなに離れていても心の拠り所なんだなって。
いつも母親を何よりも大切に思ってる気持ちがとても純粋で、そんな彼らを見てると、なんでもそばにあって満たされてるわたし達が見逃したり失ってしまってるものに気付かされたりもしました。

ソマリアチームが世界選手権に出場を果たしてから、彼らは街のヒーローとなり、街の人たちの見る目も変わり歓迎されるようになって良かったのですが、さらに今度は彼らが困難に直面してる人たちをサポートする側になっている事にも感動しました。

難民問題って難しいけど、答えのひとつを見つけたようなホッとする感じがありました。
いろんな困難を乗り越え一緒に生きてく事がもっと当たり前になればと思います。

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