馮美梅

追龍の馮美梅のレビュー・感想・評価

追龍(2017年製作の映画)
3.9
ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金のリターンの未来チケットにて鑑賞しました。

1960年―1970年代に香港で暗躍した麻薬密売で巨額の富を得た伍世豪と警察官でありながら世豪などとの汚職で富を得、香港警察のトップにまで上り詰める雷洛の物語。

世豪をドニー・イェン、雷洛を華仔こと劉徳華が演じていますが、この作品ではドニー・イェンの華麗なアクションはありません。と言っても全くないこともない。あくまでも仲間を誰よりも思い、家族を思い、香港に希望をもって潮州からやってくる若者が、いつしか麻薬王になっていく、でもその間もいろんな人に目をつけられ、家族との無残な別れや、いろんなことがあります。

今の香港は中国に飲み込まれ警察官は中国の意のままみたいな感じで市民を苦しめている。しかしこの作品の時代はイギリス領で、警察もイギリス人の警官の意のままで香港人の警察官はままならない理不尽な現実に身を置いていた。

見どころは、九龍城のセット。
丁度この映画の少し前、久し振りに九龍城の写真集を見ていて、中にある図解を見ていたので、世豪が城内を歩いているシーンは興味深かったです。(実際ああいう感じなんですよね~)

痛いシーンも多いですが、みんなで幸せになりたいとおもう世豪だけど、潮州から呼び寄せた妻子の非業の死、大切ない弟がよりによって麻薬に溺れてこれまた悲しいことに、仲間も次々と失っていくのが観てて苦しいです。

一方の雷洛も少しずつ警察の地位を登っていく。
彼の相棒ツァイは鄭則士が演じていて、特に好きなシーンは2人が茶餐廳(チャーチャンテーン)で話をするシーン。

あのお店は私の好きな油麻地にある美都餐室( Mido Cafe)でロケしてるみたいですね。2人が座っていた席、偶然だけど昨年夏行った時、わたしが座っていた席と同じ場所だったみたい。

あの時代の警察官の夏服(パンツが短パン)とか今みたいに催涙弾とかちょっと今の香港を重いようなシーンもありながらも、エンターテイメントとして楽しめた作品だったし、ドニー・イェンのアクションだけではない演技も私的には見どころだったと思いますね。
馮美梅

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