エミさん

ジョン・ウィック:パラベラムのエミさんのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

裏社会伝説の男ジョン・ウィックが5年ぶりに帰ってきた!
濡れた無造作ヘアーが、ちと鬱陶しいのと、若干、アクションにキレが減った様な気がしたのは過ぎた年月を感じてしまいましたが、それはキアヌが頑張ってアクションをやっているという証拠! 長く応援している俳優さんなので、カッコよかろうと不憫であろうと、どんな姿であっても構わず、頑張ってるなぁ、素敵だなぁと応援目線で見てしまいます。

今回もコンチネンタルホテルを拠点として、主席連合、地下組織といった組織が絡んで、場面ごとにワンカットで、ガンやナイフの武器と、バイクや車を使ってアクションを見せてくれて刺激的で楽しくて大興奮。NYのブルックリンやマンハッタンの街並みを縦横無尽に駆け抜けるのも綺麗で迫力があって見応えがありました。

前作(2作目)で、1本のペンで3人いっちゃうペン・フーのような、毎回、『〇〇・フー』の設定には笑かされるのですが、今回は『ドッグ・フー』『馬(マー)・フー』と動物と共に戦う技が登場。なかなか可愛い技です。動物が出てくると癒されます
(*^^*)

この作品で私が注目していたのは、2人の人物。
1人は、主席連合から派遣される裁定人役のエイジア・ケイト・ディロン氏。キアヌが抜擢したこの俳優さんは、第三の性別ノンバイアリーと公言していて、ジェンダーの問題を扱う人達にとっては注目の俳優さんなのです。女性の様な綺麗な風貌で男性ばりの冷徹な仕事ぶりで、直接手を下さずとも確実にジョン・ウィックを追い詰めていく様はとてもカッコよかったです。
もう1人は、忍者集団のボス、ゼロ役のマーク・ダカスコス氏。裁定人の暗殺依頼により、ジョンと何度も対峙するゼロ。キリッとしたダンディーな顔で、変な日本語を時々話して「日本人?アメリカ人?」と、トレーラーを見た時から気になっていました。
表向きは寿司屋の板長、裏返すと暗殺者。密かにジョンに憧れており、そして大のネコ好きという愛嬌ある一面も披露w。
抜群の武力のみならず、知性的で人間味もあって、とてもステキなキャラクターでした。

今回、ジョン・ウィックのルーツにも少し触れており、掟を破って賞金をかけた主席連合と話し合うために、ジョンが育ったある組織やモロッコへと舞台を移すところも複雑で面白かったでした。ジョンの素性が少しだけ判り、1作目で家族や相方を失って、やっぱりキアヌお決まりのぼっちになって、2作目では、想い出を守ることに必死になって挙句、不本意ながらもホテルで組織の掟を破ってしまい、「引退するって言って結局しないのか…」と思わされ、3作目では、賞金首になっても、それでも生き続けることに固執してることの理由が解って、私はそれを知って「どんだけー!?」と思ってしまいましたが、でも悪あがき上等!!その人間臭さが、周囲の人を動かすのです。

全世界の殺し屋に狙われて、生きた心地のしない世界へ変わってしまっても、必ず努力を見ている人が居てくれるというメッセージがそこにはある気がして、ぼっちにされても、本当の意味ではぼっちではないと分かって、どんな世界でも捨てたもんじゃなくするのは自分次第なんだな…と思いました。
物語は段々と収束されているような気がしました。いい決戦でした。『パラベラムは怒涛の展開へ』というキャッチコピーの通りです。まずは観ましょう!