にくそん

ターミネーター ニュー・フェイトのにくそんのレビュー・感想・評価

4.0
最初から最後まで、だいたいすでに知っている話だった気がする。予想と違うところはあまりなかった。だけど、熱くなったり鳥肌が立ったりした。お約束でもしらけないもんだ。予告編を何度も見たせいで“I'll be back.”なんか、もう来るぞ来るぞっていうレベルでネタが割れているのに、うれしくなっちゃって。最後のほうは誰が何をするか全部わかっていて泣けた。

アーノルド・シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトンが文字通り“ありがたい”。こんな有り難いことってないと思う。28年前に第一線にいた役者が28年後にもやっぱり役者で仕事を続けていて、ファンの前に立ってくれるなんて。すごい。SFを観た後に言うこっちゃないけど、人はタイムマシンを使わなくても意志の力で未来に行けるんだね。1日に1日分だけ、28年に28年分だけだけど。

IMAXで鑑賞してよかったと思う。IMAXレーザーのスペックが生きるだけのアクションとVFXで、映画が始まってからサラに出会うまでの冒頭の(というには長い)シークエンス、手に汗握るとはこのことだなと思った。

ここからは、映画の感想という個人的なテキストのなかでも、いっそう個人的で他人の参考にならないテキスト。

百合厨の私としたことが百合方面には今回、食指が伸びなかった。グレースが強くてかっこよくて、ダニーとの対比で男性的に見えたからかも。マッケンジーはインタビューでそう見えたくないと話しているので、申し訳ないんだけど。
https://front-row.jp/_ct/17317050

マッケンジーはまたダニーとグレースが「女性同士の親密な関係性」と捉えられることにも否定的で、グレースがダニーを守るときの気持ちは「母性」なんだそうな。うーん、母性という解釈、私にはなかったな。

彼女のなかではどうやら、グレースが男っぽく見えることと、グレースとダニーを「女性同士の親密な関係性」と捉えることが、つながっているようなんだよね。「女性同士の親密な関係性」とやらが、男っぽい女性と女らしい(?)女性の間で成立するものだと思い込んでいる節がある。で、私たちがそういうのを見たがってるんだと誤解している。

違うのに。そういうのが好きな人もいるし、現実にそういうカップルもいるけど、そうじゃない女性同士もあるし、そうじゃない女性同士の物語を好む人もいるよ。私とか。

「この映画、めっちゃ百合!」と騒ぎたい気持ちにまったくなっていないので、その点では公式さんの意向に沿えるんだけど、その公式さん(監督や女優)がインタビューで言っていることに全然うなずけない。ので、百合のことを考えると私が孤独を感じてしまう映画なのだった。もう考えるまい。映画よかった。グッドナイト。
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