にくそん

DAU. ナターシャのにくそんのレビュー・感想・評価

DAU. ナターシャ(2020年製作の映画)
3.1
キリキリと胃が締め付けられるような不穏さのおかげで、退屈はしなかったけど、かといって面白いかといえばそうでもない。そもそも面白い映画を作るつもりもなさそう。壮大な実験的プロジェクトをやってて、膨大な撮影素材から作った第1弾映画だとかいう話だけど、第2弾以降を私は多分観ない。

娯楽よりも崇高な何かを示唆する態度のわりに、なくていいような性描写を長々と流して話題を作りにいくのがダサい(映画には、なくていい描写があってもまたいいんだけど、性描写は俳優に負担を強いる気がして、理由なく長いのは私は楽しめない)。拷問シーンにしても、尋問に対して答えを渋ったから拷問するならわかるんだけど、従順にサインした直後にさらに脅していて、拷問シロウト(もちろん)の私から見ると不自然だった。映画に刺激を取り込むためだけのシーンだったのではないかという疑念がわいた。

オルガの壊れた蛇口みたいな笑いかたとか、KGB野郎の額の汗とか、印象に残るものはいくつかあった。映したいものと35mmフィルムとの相性もばっちり。

あと、食堂が主な舞台なのに、食べ物がめちゃくちゃ不味そうですごい。料理が美味しそうに見えるべき映画じゃないので適切な撮影だったんだろうけど、それにしても見事なまでに不味そうだった。
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