にくそん

ノマドランドのにくそんのネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

主人公のファーンが愛する夫と死別するのも、住んでいた場所を街ごと失うのも、この映画のファーストシーンのずっと前に起きている。映画のなかで何か劇的な展開が描かれるかといえば、そういうことは特にない。だけど、ごつごつした岩だらけの場所とか、忘れ去られたような恐竜の実寸大オブジェと夜に二人きりとか、そんな風景を映し出すだけのシーンでいきなり涙がこみ上げてくる。そういう瞬間が何回か訪れる。

ぼろぼろのキャンピングカーに寝泊まりする生活はやっぱり大変そうで、マネしたいとは思わないけど、正直な生き方には憧れた。ノマドの人たち同士で不用品の交換をやってて、気に入ったトレーを手に取ったときに「お、それいいね」って言われると「私のよ」って笑う。そういう、子どもの頃にしたような無邪気なやりとりがかわいく見えた。

ファーンがノマド生活をしていたのは、どこかへとどまってしまうと、別れに追いつかれるというか、別れが確定してしまうというか、そういう感覚があるからだろうか。旅を続けている限り、どこにいても別れと再会の間に身を置くことになるから、きっと彼女はそこを住処に選んだのかなと思う。

その解釈だとラストが臆面もなくストレートにクライマックスってことになっちゃうんだけど。最後、ハンパな積雪と枯れた植物でまだら模様になった風景が長々と横たわっていて、絶景とかではないんだけど美しかった。じんわり感動して、エンドロールでゆっくりそれを胸にしまった。
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