マヒロ

運命は踊るのマヒロのレビュー・感想・評価

運命は踊る(2017年製作の映画)
3.5
戦地で任務中の息子・ヨナタンが戦死したとの報告を受けた両親は、ひどく取り乱し絶望に打ちひしがれるが、後にそれは誤報であったことがわかる。一方、ヨナタンはたまに通るのはラクダくらいしかいないという僻地の検問所で仲間と共にだらだらと過ごしていたが、ある日珍しくやってきた車の検問により大きく運命が変わってしまう……というお話。

常に核心をつかない物語運びで、何が起ころうとしているのかこちらに掴ませないので、静かな映画ながらどこかスリリングさもある。
息子の死の誤報とそれを受けた両親の反応、そして息子が直面するある出来事と、全ての出来事がまさに邦題の如く「運命」によって導かれるかの如く絡み合っていく。原題の『フォックストロット』はダンスの名前で、同じ場所で右,左,後ろとステップを踏み続けるダンスのことみたいなんたけど、その同じところを行き来するという形が、何が起ころうと運命は変わらないということを著しているのかも。映画の謎めいた雰囲気に対して、原題と邦題を見るとここまで推理出来てしまうというのは良くも悪くもいう感じはするが。

意外とシンプルな話で、そこまで奥行きが感じられないところは気になったが、雰囲気や空気感は抜群で、シンプルさも無駄の少なさと考えたらそれはそれで魅力的だったかも。

(2022.50)
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