きよぼん

オンリー・ザ・ブレイブのきよぼんのレビュー・感想・評価

3.6
「実話に基づいた物語」

オープニングでこの文字をみたときは、ああまたか…と思ったものの、実はそれが実に意味があった映画でした。

職人気質の隊長、荒くれものだが気は優しい隊員たち、そこに入隊してくる子供が生まれたばかりの、人生やりなおしたい新人。もう予告編から感じ取れるマンマのストーリー。しかし、映画を観た人の満足度はかなり高いのではないでしょうか。

それは真摯につくられたドラマだということ。森林消化の隊員の活動は、おそらく実際もそうなのでしょうけど、延焼をふせぐために溝を掘ることと、チェーンソーで木を切り倒すという、地味なもの。派手な演出、エキセントリックなカメラワークもないですが、それだけにドラマ部分が映えています。

「英雄たちの感動物語」としてお気楽にこの映画を消費しようとしていた観客は、ラスト20分で冷や水を浴びせられることになります。

地元の中学校にみんなが集まったシーンは、ほんとにやりきれない。

映画みたいに感動で肩を叩きあうのではなく、現実はそうなるんだろうな、という重い空気。

それは、感動的な物語でかたづけるのではなく、現実はこうなんだ、あっけないんだ、こういう使命を引き受けてくれてる人達がいるということを伝えたいという、作り手側の気概でもあるのでしょう。

だからこそ、「実話に基づいた物語」という文句に、この映画は意味があったと思うのです。

世の中、いろんな仕事があるわけですが、こういう災害が起こったときには、そこで仕事をする人がいるっていうのは、頭の隅でもいいので思っておきたいものですね。
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