ーcoyolyー

休みなき挑戦: あるバレリーナの引退のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

3.8
竜宮城を出て玉手箱を開けなければならないことを知った、もしくは12時の鐘が鳴るのを聞いているシンデレラのお話です。
彼女は30年間ニューヨークシティバレエ団という竜宮城もしくは舞踏会の主賓、主役として踊り続けていました。それでもその場所を出なければならない時が来ました。彼女はその場においては圧倒的な女王なんだけども世知には疎いので一歩外の世界に出ると怯えた小娘のようなところもあったりします。47歳の小娘です。ひたすらストイックに自分の肉体と向き合って自分の芸術を引き上げることだけを考えていたから、外気に触れてないのです。
極限まで鍛え上げた肉体を必要とする事柄に才能を与えられた人には、残酷な運命が待ち受けてます。その肉体を怪我や病気や老化で必要な水準まで鍛え上げることができなくなるとその人たちの才能というのは雲散霧消してしまうのです。それがわかるとNFLプレイヤーなんかが酒や薬物に依存してその後半生で苦闘する意味が見えてきます。

で、この圧倒的な女王はその場を出た後どうするのかと思ったらコンテンポラリーダンスの世界で延長戦始めてました笑 ずっと心配してたけどこの人は大丈夫だわ。今二次会やりながら世間に少しずつ馴染んで後半生どうするか探ってるんじゃないかと思う。この人はなんだかんだで大丈夫な人だ。気さくでいい人なんだな、というのは伝わってきたから、人知れずもがき苦しむのはそれはこの立場の人ならみんなそうなんだろうけど、多分助けてくれる人がいてその助けを最終的には拒むことなく素直に受け入れられる人ぽいから大丈夫だろう。きっと、うまくいく。
ーcoyolyー

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