ーcoyolyー

家族の難題のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

家族の難題(2015年製作の映画)
3.3
バアさん、一目見た瞬間にわかるんですよ、あのアドレナリン過多な目、パーソナリティ障害だ!って。サイコパスやソシオパスはああやって自分の感情に振り回されすぎないから、最初は自己愛かな?と思って観察し続けてたんだけど、途中でためし行為きた!違う!バアさん自己愛じゃなくてボダ子だ!と確信できましたよね。カメラを回す孫の前で泣き崩れる、あれボダ子がやるためし行為です。途中までは自己愛だと思って見てたからいつ自己愛憤怒出るだろ?とワクワクしてたんですが、バアさん調子に乗って孫に陽性転移起こしてるから、ああこれどこかで全てが反転するやつだ、どうくるかな?とソワソワしてきて、その瞬間がやってきた時にホッとしたよね、これぞボダ子だ!という感慨が(こういうのにロックオンされがちだった)(もう過去形です)

これ、孫は野次馬根性で(恋愛感情向けられた時にはドン引きしつつも)ある程度距離取ってカメラ回してるんだけど、この毒母に振り回された息子(監督の父)が香川照之並みのはっちゃけかましちゃってんだよね。心理学者だとか言ってるから理屈ではどうなっててどうすればいいのかわかるはずなのに、それでも心が暴走してずっと渇望してきた母の愛を得ようと縋ってしまうの痛々しかったです。この監督、そこらの素人ならすぐ飲まれてしまうボダ子の感情から距離取って自分から煽りに行く余裕すらあったのは父からのアドバイスあったのだろうな、と思ったんだけど、お父さん当事者になっちゃうとダメなんだろうな。お父さんまだ次男だから心理学者になる余裕持てたんだろうけど、長男のレネはこの母親からの毒をダイレクトに浴びるから精神病んじゃってああ長男大変よな、と私からの同情とシンパシーを一心に集めた。孫に盛って自分が児童養護施設に預けたせいでメンタルぶっ壊れちゃった長男には冷たくて、恐らく娘らしき人には男として孫を渡さない、と牽制の視線を投げる。いやバアさん以外そんな目で親戚の子供見てる人誰もいないんだけど、バアさんは必死に逆毛立ててる。

ボダ子が崩壊させた一家の物語としてはよくある陳腐な話なんだけど、その陳腐を生きなければならない当人たちにとっては悲劇なわけで、本当死んでよかったね、としか思えない。でもあの父さんははっちゃけかましてたから、きっと私とは違う思いに沈んでるんだろう。

とにかくパーソナリティ障害の人間に出くわしたらそれはもう野生のクマと一緒なので、目を逸らさずに少しずつ後退りして逃げろ!としかアドバイスできませんよね。それが血縁者だと難易度天井知らずだから、かける言葉もないです正直。
ーcoyolyー

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