新潟の映画野郎らりほう

ういらぶ。の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ういらぶ。(2018年製作の映画)
1.3
【ういらぶロック優羽】


「私は変わらなきゃいけない」そう優羽(桜井日奈子)が呟いた直後のカットで 彼女はバスの窓際に腰掛けている。当然その車窓に彼女の姿を鏡写させ〈自分自身を見つめる〉のかと思いきや、単なる着座に終始するのみなのだから惘れる。なんの為の車窓かと。

バスは単なるバスとして、窓は単なる窓として。一つ憶えの如く外でも中でも、昼でも夜でも代わり映えせぬ照明降り注ぐ無頓着さ。階段上下の高低差も碌に活かせずに映画か。

回想頼り、妄想頼りで常に演出上の逃げを用意する姑息さ。
都度挿入される何らの工夫無きアイキャッチも製作者自らの“作り物宣言の免罪符”と化す。全てが悉く鎮具破具だ。
恋愛映画の要である眼差す/眼差される、その距離感も絶望的に弱い。



自信の無い優羽(ゆう )は、猫背/厚着/長髪で相貌が隠れがちである。映画心あれば、そんな彼女が背筋伸ばし 胸襟開き 髪を切るか結い上げる事で“変化/成長”とするだろう。
前述の凡庸にも及ばぬ演出の数々を鑑み それは全く期待しなかったのだが………。
この作品にも映画心があったのかと安堵し少しは擁護しようとした矢先、またもや妄想で逃げる。
監督佐藤祐一の自信の無さはヒロイン優羽以上であり、自分が変わらなければ作品人物の“変化/成長”など決して描けはしない。



『ういらぶういらぶロック(岩)優羽(ゆう)』-お前の世界を変えろ
『ういらぶういらぶロック(岩)優羽(ゆう)』-世界は変えられるんだ

詩吟!




《劇場観賞》