フラハティ

カメラを止めるな!のフラハティのネタバレレビュー・内容・結末

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

これは俺の作品だ!


なるほど。製作現場の映画ね。
って言いながらも、前半のありきたりなゾンビ映画の時点でこういう構造なのはなんとなくわかるんだけどね。
どうせみなさんは観ていると思うので、ガッツリネタバレレビューで。


何のために自分はカメラを握り始めたのか。
いつしか自分を押し殺して映画を撮り続けていないか?
みんなで作り上げる作品なのに、なぜこうも思い通りに作品を作れないのだろう。
昔から、自分の思う通りには映画は作れないと嘆く監督は多かった。
多くのトラブルに見舞われながら、なんとか作品を完成させる。
そこには監督の苦悩がある。

と、嘆く映画ではなかった。
映画を作ること、ひいてはモノを作ることの素晴らしさ。
情熱を注ぎ続けることの大切さ。
諦めないことで生まれる化学反応。


僕たち観客には、完成されたものしか提供されない。
どんな苦労があって、どんな喜びがあって、どんな妥協があって、どんな挑戦があったのかなんてわからない。
本作を人生と重ねるレビューも多いように、カメラに写されたものが全てではなく、完璧なものじゃない。
グダグダで、どうしようもない人生でも、誰かに支えられたり不器用ながらも生きていける。
出演者たちの笑顔には光るものがあるよね。


映画を作る上で一番作るのが簡単でありながら、一番難しいのはホラー映画。
どう観客を驚かせるのか、どうやって演技をリアルなものに仕立てるのか。
映画の可能性を探りながら、映画愛にもあふれたこの作品を悪く言う人はきっといない。
生放送でワンカットとか、頭おかしいとしか思えない撮影。
問題抱えまくりの出演者や撮影クルーたち。
アドリブでなんとか繋ぐしかないその場しのぎのようにも思えるが、前半のゾンビ映画の伏線をしっかり回収するという描きがいいね。
劇中作とは裏腹に、脚本の練りがすごい。

大作ではできないこと。
インディペンデントでもできること。
豪華なキャストじゃなくたって、たくさんの製作費がなくたって面白いものは作り出せる。
今こうやって世間が注目するようになったのは、ほんとうに面白い映画を分かち合うことが本作で重要になっているから。
これをリアルタイムで観れたことを、将来自慢できるかも…?笑

最後のピラミッドで文字通り積み重なって完成した、という演出は憎い。
自分勝手な役者も、端から見ている関係者も、みんな揃って終わりを迎える。
だからこそスッキリした終わり方で、多くの人に受け入れられる作品になったんだろうな。
こりゃみんな応援したくなるよ。

個人的に一番感動した?のは、カメラマンが代わったところ。
前半パートでもちょっと違和感があったんだけど、後半にカメラマンが代わったことが判明。
ダサカッコイイ!っていうのがめっちゃよかった!
わかる人にはわかるんだよね、こういうこだわりって。
「こんなところに斧が。ついてるわ。(棒読み)」のシーンも好き。


やっと田舎でもやってくれるほど話題になった本作。
クチコミでここまで広がっていくのは嬉しいこと。
残念ながら劇場の観客の人たちとの一体感を味わうことはできなかったけど、色んな方のレビューでは、映画館で観ることの価値が語られていて、やっぱりそういうのって大事だよね。
卒論は映画について書いているので、このムーブメントも盛り込みたいなぁ。
東京とかなら観客の熱気も凄そう!
田舎でもそんな熱気をよろしくでーす。
フラハティ

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